脳の中の「自分探し」
「自分」はどうして感じられるのでしょう?脳のどこかに「自分」専用の処理装置があるかもしれない。もちろんこれは,「自己意識」にも関連するでしょう。これまでの研究で,前頭前野の内側と,頭頂葉の内側に関係があるらしいということになっています。
(※「自分」探しは脳科学の世界でも流行っています;世間と一緒です)
装置に入って,提示される形容詞が,自分,親友,デンマーク王女にどれくらいあてはまるかを判断させた(自分←→自分以外という設定)。自分に関連するほど右下頭頂葉が,自分以外に関連するほど左外側側頭葉が活動した(PETによる実験)。下頭頂葉は頭頂葉内側と,外側側頭葉は前頭葉内側との関連が強い。
そこで,頭頂葉内側をTMSしてみた(TMSによって,一過的局所的に脳活動をブロックできる)。同じような課題をさせると,自己関連の判断に低下がみられた,160ミリ秒で特に。
内側頭頂葉が「ノード」の役割をしている,という結論です。
頭の中の「自分探し」はこんな調子です。
ちなみに,道順の想起なんかもこの領域が関与してます(地図とか環境の中の「自分探し」ですね,いわば)。
脳研究ではこのごろ,複数の装置(今回はPETとTMSの組み合わせ)を組み合わせた研究が多いです。そんな金ないって(笑)。
PNAS 101(17): 6827-6832, April 27, 2004.
Lou HC, et al.
Parietal cortex and representation of the mental self.
PET, TMS
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