頭を使えば使うほど?
あるタスクをこなすとき,負荷が高い(難易度が高い)ほど脳の活動は増加する,ということは一般的に知られています。それではその同じ課題をトレーニングし続けたらどう変わっていくのでしょうか。
効率が良くなり活動自体は減少するという報告もあり,
減少しない(活動量それ自体が成績の良さと関連する)という報告もあります。
しかし学習による脳活動の変化といっても,多くの研究では比較的短期間(1日だけ)の変化しかとらえていません。
視空間ワーキングメモリ課題(非言語的な,"記憶を一定期間保ち続けることを要する"課題)を9名の右利き男性に実施し,期間中は1日2回(1回に要する時間は45分ほど)トレーニングした。
セッション1(1日目)セッション2(2週間後)セッション3(4週間後)の3回,fMRIにて脳活動を計測し,活動量の変化を検討した。
活動が見られた領域は,前頭前野にある下前頭回/中前頭回と,頭頂葉にある頭頂間溝/上頭頂葉だった(これは先行研究と同じ)。それらの領域における活動の変化は,逆U字型となり,トレーニングを始めて成績が向上していくのにあわせて活動量が増加するが,その後成績は維持されながらも活動量は減少していった。
記憶の課題以外にこの逆U字型現象が見られるかどうかや,年齢差や性差があるのか否かについても今後の検討課題。
# やっぱり一度は負荷を高めて脳活動をアップさせないと,覚えられませんよってこと
# 記事の形式をちょっとかえました
# "#"マークはSat_Mochiによる論評
American Journal of Psychiatry 16(4): April 2004.
Hempel A et al.
Plasticity of cortical activation related to working memory during training.
Neuroimaging, fMRI(N=9);
visuospatial working memory, learning, plasticity
「 01. BRAIN 【脳】」カテゴリの記事
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