扁桃体損傷は「擬人化」の障害をひきおこす
私たちは,雷が鳴ると空が「怒っている」と感じるし,パソコンがクラッシュすれば「意図的なサボリ」を感じたりすることがあります。これらは「擬人化・人格化」(anthropomorphizing)と呼ばれる心の働きです。
両側の扁桃体に損傷を持った患者さん,SM(有名な患者さんです!)は,ビデオフィルムに出てくる,動きを伴う一群の幾何図形(...ってなんのことかわかりにくいでしょうけど;HeiderとSimmelのfilmを使っています)で,損傷のない人々や,別の損傷部位を持つ患者さんたち(前頭葉眼窩部損傷)には感じられる「人っぽさ・生き物っぽさ」をまったく感じられなくなりました。メカニズムとしては,「知覚された刺激が情動的な反応をトリガーしない」ということが考えられます。
著者らは,「社会的文脈」を感じられない,という論点を切り口にしているようですが,そうなのかなぁという疑問。
animacyやagencyの知覚の問題とか,「心の理論」の基礎にあると考えられている,意図の検出といった問題,という見方もできると思います。
PNAS 101(19): 7487-7491, May 11, 2004.
Heberlein AS & Adolphs R.
Impaired spontaneous anthropomorphizing despite intact perception and social knowledge.
Neuropsychological; single case study + camparative (vs. OFClesion N=8)
Heider & Simmel film (のデモが見られるのはここなど)
「 01. BRAIN 【脳】」カテゴリの記事
- 神経心理学演習12-10(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-9(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-6(2012.05.08)
- 神経心理学演習12-5(2012.05.08)
- 神経心理学演習12-08(2012.05.15)
「 02. MIND 【心】」カテゴリの記事
- 120724[mz1] Cogn. Ther. Res. 36-4(2012.07.24)
- 120514[mz1] Cogn. Ther. Res. 36-3(2012.05.14)
- 120506[mz1] Behav. Res. Ther. 50-06(2012.05.06)
- 120506[mz3] そういうWebサイトのプロフィール画像で赤い服の女性は…(2012.05.06)
- 120425[mz1] J.Behav.Ther.Exp.Psychiatry 43-3(2012.04.25)
Commentaires