摂食障害-食物写真-脳活動
摂食障害患者を対象とした,symptom provocationによる脳活動のfMRI研究。
前頭前野あたりに。
摂食障害(ED)女性患者群26名(神経性大食症(BN)10名,神経性無食欲症(AN)16名)と
健常対照(NC)女性群19名に対し,
食物の写真と,(非食物の)情動的に不快な写真(←##この記事では省略##)を提示,脳活動を測定する。
1)BN・ANに共通する,すなわちEDに共通の脳活動を特定すること,
2)BNに特有な脳活動,ANに特有な脳活動をそれぞれ特定すること,が目的。
*symptom provocationとは,関連する刺激を提示して「症状を誘発する」という意味。
食物写真を提示したとき,
NC群では左前頭前野外側部(BA10,9),左頭頂葉(BA7,40),両側視覚野(BA17,18),両側小脳で活動増加,
ED群では帯状回前部(BA24,32),帯状回後部(BA23,29,30),左前頭前野眼窩部(BA11),左前頭前野外側部(BA10),右小脳に活動がみられた。
このうち,
帯状回前部と右小脳の活動はEDに共通して認められ,
前頭前野内側の活動はBNに強く,
前頭前野外側の活動はANにのみ認められた。
ANの病型である,制限型,むちゃ食い/排出型での比較では,
制限型において(NCとの比較),左前頭前野内側の活動が高く,
むちゃ食い/排出型において(NCとの比較),右側前頭前野眼窩外側部(BA47)および前頭前野眼窩前方部(BA10)の活動が高くみられた。
直接比較では,
むちゃ食い/排出型 > 制限型 の比較で,右前頭前野前方部(BA10),前頭前野眼窩外側部(BA47)に強い活動がみられたが,逆の 制限型 > むちゃ食い/排出型 の比較では,有意な活動クラスターなし。
##
かみくだいて説明すれば,
食物写真によって
1)摂食障害(どのタイプでも)では,前頭前野の内側~底面(眼窩部,帯状回前部)が強く活動してしまう
↑強迫性障害,嗜癖などと共通のメカニズム
2)神経性大食症では(非摂食障害者および制限型の神経性無食欲症者にくらべて),
前頭前野外側~前方部の活動が低下している
↑「望ましくない行動を抑制する働き」が低下している
という結論。
BNをfMRI研究で対象とした,初めてのstudyであると,著者らは言ってます。
American Journal of Psychiatry 161(7): 1238-1246, July 2004.
Uher R, et al.
Medial Prefrontal Cortex Activity Associated with Symptom Provocation in Eating Disorders.
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