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16 août 2004

それは私の手だ!

自分の身体部位が自分のものである,という感覚(feeling of ownership of limbs)は
どのような脳活動と関係があるか。

「ゴム手幻覚(rubber hand illusion)」を用いたfMRIの実験。
テーブルの下に手をおいて見えないようにし,テーブルの上に本物そっくりの偽のゴム製の手を置く。
刷毛を用いて両者に同時に刺激を与えると,その偽の手が「自分の手である」という幻覚が高率に生じる。

この現象を使って,factorial design,すなわち,
一致・不一致(正位置か,180度回転した位置か)×同時・非同時(同時に刺激を与えるか,時間的にずらすか)の4条件における脳活動を測定した。
一致かつ同時条件のときに,この幻覚がもっとも強く生じていた。

このような幻覚が生じている時最も活動がみられたのは,両側の中心前回下部の運動前野(6野)~44野,および両側前頭弁蓋部(6野~44野に近接した)であった。

幻覚の主観的な強さと上記運動前野の脳活動量との相関をみたところ,有意な正の相関を示した。
また,時間的な経過(幻覚が始まるまでに11秒ほどかかるという)と運動前野の活動の増加も符合していた。

以上から,自分の身体部位が自分のものであるという感覚は,運動前野の活動と関連があるといえる。
このような感覚が生じるには,視覚,触覚(表在覚),および位置覚(深部覚)の統合過程が存在すると思われる。
従来的な見解では,そのような多感覚の統合過程は頭頂葉に存すると考えられており,実際この研究でも「一致かつ同時」条件において頭頂間溝領域に活動が見られたが,これは幻覚が生じる「前」の期間において,であった。

そのような統合された情報をもとに,「自己帰属(self-attribution)」をするのが,この運動前野であるらしい。
そして,運動前野は「身体中心座標系(body-centered reference frame)」で表現しているとされているので,この座標系自体が,自分の手は自分のものであるという自己帰属の,基底的なメカニズムといえるかもしれない。


Science 305: 875-877, 6 August 2004.
Ehrsson HH et al.
That's my hand! Activity in premotor cortex reflects feeling of ownership of a limb.

Journal's abstract(Sign inしないと見ることができません)

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