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30 sept. 2004

臨床心理学演習I(学類)2-3

なぜ確認強迫の人は,一度の確認ではなく,何度も何度も確認するのか。
確認することが,記憶への信頼(明瞭さ,ディテール,記憶に対する自信)を下げるからだ,という説の検討。

今日は尾崎さんの担当で,

Behav Res Ther 41(2003): 301-316.
van den Hout & Kindt M.
Repeated checking causes memory distrust.

でした。

なぜ、に関して以下の説が挙げられている。

・有名なのはSalkovskisの「過大な責任感」認知説。
 この説では、確認衝動の高まりは説明されるが、確認後にも疑いが残ることを説明できない。
・「確認した」という行動自体の記憶が不確かだから、確認し続ける(記憶障害説)?
 (確認される事柄の)記憶内容には低下は見られないという知見があるから、一般的な記憶低下ではない
  → 記憶に対する自信が低いことは確か = メタ記憶の問題

・確認を繰り返してしまうから、記憶への不信が高まる?
 (1) 確認を繰り返すと、確認されたことへのfamiliarityが高まる
 (2) familiarityが高まると、概念的処理が促進され、逆に知覚的処理が抑制される
 (3) 知覚的処理が抑制されるので、記憶の鮮明さと精密さが低下する
 (4) 記憶の鮮明さと精密さが低下すると、記憶への不信(distrust)が高まる

これらを、健常大学生による実験で検討する(実験I)。
パソコン上で表示される、ヴァーチャル・ガスコンロと、ヴァーチャル・電球のON/OFF操作をする。

実験群:練習→事前テスト(ガスコンロ)→確認の練習(ガスコンロ)→事後テスト(ガスコンロ)
対照群:練習→事前テスト(ガスコンロ)→確認の練習(電球   )→事後テスト(ガスコンロ)
※ 練習の内容が群間で異なる。
※ 事前・事後テストで、確認の正確さ・記憶の鮮明さ・精密さ・自信、結果への自信をテストする。
※ 実験群はガスコンロの確認を繰り返すので、事後テストで記憶への信頼度が低下する、という予測。

結果、予測通り、実験群において(記憶の正確さは対照群と差がないのに)記憶の鮮明さ・精密さ・自信が
事後テストで低下していた。

実験IIでは 具体的な記憶(知覚的処理)/一般的な知識(概念的処理)を事前・事後テストに導入して、
実験IIIでは 事前テストなしにして
同様の手続きによる実験を実施したが、いずれも実験Iと同様の結果が得られた。

確認を繰り返すことが、記憶への不信を高めるというパラドキシカルな説は支持された。
 つまり、
  記憶が不確か→だから→確認を繰り返す のではなく、
確認を繰り返す→その結果→記憶が不確かになる ということ。

なぜ確認強迫では,確認を繰り返すのか,については,実験結果からは説明しないが,
これらの人々は,高いレベルの記憶の鮮明さを求めるからだ,との説が提案されている。

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なかなか面白い実験で,なおかつ普通の大学生を被験者として以上のような結果が得られた点で
「面白かった」という感想が聞かれました。

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