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25 oct. 2004

総合科目心を考える2-7

行為のコントロール(続)。
到達運動と把握運動(reachingとgrasping)。運動前野と補足運動野の違い。
失行症。道具の強迫的使用など前頭葉性行為障害。

脳の側性化。
「右脳」と「左脳」。脳梁損傷による障害,一側性半球損傷による障害。

まにあっくな日(特に前半)

コメントも追加しました

★失行や前頭葉性行為障害に興味を持った人
 →あなたは神経心理学に向いています。
  現在所属の学群学類を投げ打って,転向してこの業界に来てください。
  お待ちしてます(笑)。

★<「右脳」論は「日本文化論」である>という着想をしゃべりながら得ました。
  ちまたにたくさん本が出ているので,自然と興味を持たれるようですね。
  それに,「そういう本は買うな」という内容なので,自然と「心を考える」という,
  この総合科目のタイトルに沿った,適切なテーマになるようです
  (行為のコントロールとか,心を考えることにならないらしい)。
   - まあ,右だの左だの,話しを追うときに混乱するけどね

191枚の出席カード,16枚のコメントを頂戴しました。


> イメージトレーニングの効果があると知って,これから使ってみようと思った。
 脳も使うほど鍛えられるということでしょうか?がんばれSMA!?
 (注:SMAは補足運動野です)

# がんばれSMA,というのが洒落ていますが,別にSMAと意識しないでも,
 勝手に活動するでしょう。応援されなくてもやっとるわい,と彼(彼女?)は言うでしょう。
 使うほど鍛えられる,という話しは,今回の「右脳・左脳」に続く,
 「計算や音読ドリル」系のネタですね...
 もちろん使わないよりは使った方が脳の活動上昇するでしょう。
 しかし,活動したからといって,そのことが,直接的に成績や遂行の向上につながるか?
 つまり,通常の1.5倍脳が活動したからといって,
 成績や遂行が1.5倍<良くなる>とは言えない,ということ。


> 失行症の人は,すべての動作や道具の使い方についてぎこちなくなるのですか?
 それとも,特定の動作や道具,または種類などによって,
 出来ることと出来ないことが出てくるのですか?

# 一般的には,「すべての」というのがあてはまります。
 特に,口頭命令を与えた時は,模倣や実際の道具使用にくらべて,成績が低下します。
 しかしなかには,「慣習動作に強く」とか,「道具使用に強く」,など,
 症状に偏りがみられる場合もあります。
 動作の「種類によって」という点はあまり検討されていませんが,
 くしとか歯ブラシのように,道具の作用する
 対象部位が見えにくいようなもので,成績がより低下する,といった報告もあります
 (というか,昔私が学会発表で報告しました)


> 道具の強迫的使用などには,どの位の強制力があるのですか?
 自分の意志で止める事が可能なのですか?

# 特に「道具の強迫的使用」は,自分の意志で止めることが非常に困難です。
 ほんとうに,文字通り,強迫的・強制的です。
 通常右手に出現し,左手でこれをやめさせようとします。


> したくないのにしてしまう,意図しないのにしてしまう前頭葉性行為障害ですが,
 これは脳の暴走なのでしょうか?

# 暴走といえるかどうか...ある意味では,これが原始的な行為のあり方・傾向で,
 脳に損傷のない時点では,この傾向を「抑制している」と考えられています。
 つまり,前頭葉損傷で,この「抑制」機構が外れるわけです。
  興味深いのは,こうした行為は,ちゃんと行為としては適切に成立している点です。
  たとえばはさみの強迫的使用では,ちゃんと「紙を切る」行為に用いられ,
  突き刺したりとかたたいたりとか,不適切な行為は出現しないこと,また,
  検査者の髪や指を切るような,社会的に見て不適切な行為はほとんど現れないことです。
 そういう意味で,単純な「暴走」というくくりは,正確とは言えないと思います。


+ 「右脳」本をはじめから信じていなかった,という人が何人かいらっしゃいました。
 大学生の思考レベルとして健全だと思いました。

> 珠算の文句にもそのような(右脳とか)言葉が使われていた気がする。少しショックだ。
 文句を少し疑わないといけないと思った。

# そうそう,なんでも鵜呑みにしなくなるのが,高等教育で目指すところだと思うし。けっこう!


> 左脳や右脳の働きは生まれながらにして決まっているものなのでしょうか?
 脳の特性によって人の適性や能力が定まってしまうように聞いていますが,
 成長してからでも両脳の働きを活発にすることはできないのでしょうか?

# 生後まもなくはあまり「優位性」はあきらかではないが,経験によって
 そういう半球の特異性が明瞭になってくる。
 しかし,たとえばどうして言語は多くの人で,右半球でなく左半球優位か,などを考えると,
 どうしても生得的な要因を考慮する必要があると思います。
 成長しても,脳を使っている限りは,そして脳細胞が減らない限りは,
 脳の働きを「両方とも」活性化することはできると思いますよ。
 たぶんこの授業で(他の授業でも)脳を活性化させているはずですが,それなりに。


> てんかんの治療の為に外科的に切断されたりして脳梁を損傷すると,
 性格に何か変化があるのでしょうか?

# 知識と経験から言って,ほとんどないのでは,と思います。
 外見上それとわかる術はありません。
 日常生活もほとんど問題はない,という人もいます。
 ややコミュニケーションに「ぎこちなさ」を感じた経験はありますが。


> 眼球の「中心か」の情報は眼球の中心にあるのだろうか?
 中心にあったらその情報は右・左半球どちらに行くのか?

# 視野の中心情報がそこに行って,中心かがそこにあるから,「中心」と命名するわけでして,
 眼球の物理学的中心というのは定められないのではないか。でもこのあたりは不明。
 中心視野の情報は両半球にだぶって表現される(たしか)。


> 脳梁損傷がある場合,片目だけで見た情報・片耳だけで聞いた情報を
 認知することは不可能になって,その存在をまったく無視してしまうのですか?

# はい,ありがちな誤解です。まず第2回の資料のはじめあたりを復習してください。
 × 右目 → 左半球 ではなく,
 ○ 右視野 → 左半球 です。
 右目でも左目でも,右視野は存在しますから,片目を閉じても影響はありません。


> 斜視などは,視覚的な認識障害に入るのでしょうか?

# 入りません。中枢神経系の障害ではないので。
 なぜ今回のコメントか疑問。


> プリントも画面も字が小さくて(例やグラフの字)聞き逃すと,なんだかわからなくなってしまうので
 どうにかなりませんか。

# どうぞ,ご自分でどうにかしてください。
 pdfファイルをダウンロードして拡大して見る;友達やまわりにいる人たちや教員に聞く;
 頭の回転を速くする;すべてを聞き逃さないのは無理と思って要点だけ聞く;あきらめる,など。

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