臨床心理学演習I(学類)2-5
「赤面してますよ」または「全然赤くなってませんね」といった言葉を聞くと,
赤面の状態や本人の思う「赤面度」「気まずさ」は変化するのか?
詳細は
書きました(2004.11.4)
今日は新倉さんの担当で,
Behav Res Ther 41(2003): 413-425.
Drummond PD et al..
The impact of verbal feedback about blushing on social discomfort and
facial blood flow during embarrassing tasks.
でした。
結論としては,
「赤面しやすいと思っている」人が「赤面している」と言われると,より赤面度・気まずさが増大する。
関係ない今日の教訓としては,
・「朗読するように歌うと赤面しにくい」
・「歌うように朗読すると,ちょいと赤面する」
今後の課題としては,
・「歌詞を朗読するのは歌うことよりも恥ずかしいか」心理学的に解明することです(笑)。
---
(続)
赤面している,もしくは赤面していないという言語的なフィードバックが,
赤面可能性の認知に影響を与えるか
言語的なフィードバックが,顔面血流量の変化に効果を持つか,が検討目的。
被験者は,「赤面傾向尺度」得点の高い群(H)および低い群(L)各28名。
課題は,
歌う→自己評価(気まずさ・赤面の程度)→言語的フィードバック
→自分の歌の録音を聞く→自己評価→言語的フィードバック
→朗読する→自己評価→言語的フィードバック
→自分の朗読の録音を聞く→自己評価→言語的フィードバック
歌→朗読の順か,朗読→歌の順かは被験者間でカウンターバランス。
言語的フィードバックは,「赤面している」「していない」のいずれか。
要因は,被験者間で
赤面傾向
課題の順番
フィードバック
結果
顔面血流量:
もともと赤面傾向の高い人が,「赤面している」と言われると,血流量が増加(=実際赤くなる)
自己評価(気まずさ・赤面状態):
歌を歌うとき
もともと赤面傾向の高い人は気まずさ・赤面を感じており,
「赤面している」と言われると,その度合いが上昇する
録音された歌を聞くとき
・もともと赤面傾向の高い人はフィードバックの種類に関係なく気まずさを感じ,
赤面傾向の低い人は,「赤面している」と言われたときには,気まずさを感じる
・赤面に関する自己評価は,もともと赤面傾向の高い人,
「赤面している」といわれた時には上昇
朗読するとき
気まずくなく,赤面していない)
朗読の録音を聞くとき
「赤面している」といわれると,気まずさ・赤面を感じる
要約すると,
もともと自分で「自分は顔が赤くなりやすい」と思っている人が,
「顔が赤いね」などと言われると,気まずさや実際の赤面を感じることになる。
もともとの「赤面傾向」の高低は,「言語的フィードバック」の赤面している/いない
の効果と類似していることから,自分で顔が赤くなりやすいと思っている人は,
過去に受けたそういったフィードバックの経験に由来しているのだろう。
赤くなる,と思っているから顔が赤くなる,
これは一種の自己成就予言(self-fulfilling prophecy)です。
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