「痴呆」→「認知症」
A社やY社のサイトで見ました
(M新聞のサイトには見あたらない,今朝は;あまりニュースバリューが高くないという判断でしょうか)
厚生労働省のここあたりに
候補を絞る際の検討事項などが書かれています。
「認知症」といってしまうと,
(1) 重要要件である「記憶障害」ニュアンスが低下してしまうのではないか
(2) 現行で言う「痴呆」と,現行で言う非進行性の「認知障害」はやはり混同されそう
(3) 「失行」は認知症?とかいういらぬ疑問が呈されそう
(4) MCI(mild cognitive impairment;軽度認知障害)との概念的異同が判然としない
痴呆の進行によって「人格変化」「行動異常」が現れる場合がありますが,これからは
「認知症による人格変化」
「認知症による行動異常」
と説明することになるらしい。
認知の変化が直接的原因となって,人格変化や行動異常が起こる,というように伝えることになる。
正しいのかこれで?
(認知行動療法的考え方に近いイメージ;心理療法で「認知症(=痴呆)」を治すことができそう?)
ともあれ,言い替えが「アルツハイマー」にならなそうでほっとしました。
・ 「アルツハイマー型痴呆→アルツハイマー型アルツハイマー」
(謎かけのようだ)
・ 「前頭側頭型痴呆(「非アルツハイマー型の」変性性痴呆の代表→前頭側頭型アルツハイマー」
・ 「脳血管性痴呆(神経細胞の変性病因によらない)痴呆→脳血管性アルツハイマー」
(定義上矛盾をはらむ)
dementiaそのものを,新しい用語で置き換える,という視点はなかったのだろうか
(難しいことはわかるが,それを考えるのが検討会のお役目だろう)。
しゃべるときは「ディメンシア」で良いけど,書くときは困るし,混乱を引き起こすかもしれない。
「統合失調症」の言い換えに比べて,普及する可能性は低いだろう。
※追記:
ここもご覧ください
(2005.1.18)
「 01. BRAIN 【脳】」カテゴリの記事
- 神経心理学演習12-10(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-9(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-6(2012.05.08)
- 神経心理学演習12-5(2012.05.08)
- 神経心理学演習12-08(2012.05.15)
Commentaires
はぁ?認知症?
言い換えというよりも、「ぼかし」に近い案ですね。
Rédigé par: ハラサチコ | 21 nov. 2004 11:27
ぼかし,ね。たしかに。
学会中も誰も話題にしてなかったです。
(もうちょっと皆さん意見があるのでは,
と思っていましたが)
まあ,その学会の名称である「高次脳機能障害」も,
専門家的意味と,行政的意味とが解離しているのは
有名な話ですから。
「名は体を表す」でなくてもいいみたい。
Rédigé par: mochi | 29 nov. 2004 14:52
院生のIkomaです。いつもお世話になっております。
認知・心理関連の4学会が、「認知症」への改称に反対する意見書を提出したそうです。
↓にて全文を読むことができます。
http://www.cogpsy.jp/ikensho.html
Rédigé par: Ikoma | 21 déc. 2004 12:46
Ikomaさん,
情報をありがとうございます。
認知失調症かぁ...それもイマイチにも思えるが。
だって統合失調症と似てるでしょ?「同じような」ニュアンスは与えない方が望ましいと思いまして。
年明けの国会で通す予定らしいので,
あとは「政治的圧力」をかけるしかないのですかね(「意見書」の実効性は疑わしい)。
ま,そんな政治的圧力のとっかかりもないですけども。
Rédigé par: mochi(政治的圧力) | 22 déc. 2004 17:00