臨床心理学演習I(学類)3-1
3学期は,「質問紙調査」系です。
対人不安における「解釈バイアス」はどうなってるの?
※解釈バイアス:判断に微妙な状況をポジティブまたはネガティブに解釈する傾向
担当は田坂さんで
Cogn Ther Res 27(5): 569-577, 2003.
Huppert JD et al.
Interpretation bias in social anxiety: a dimensional perspective.
でした。
あいまいな
社会的状況
非社会的状況
シナリオ提示でのoff-line解釈(*1)において
ポジティブバイアス
ネガティブバイアス
がどの程度なのかを,別々に(*2)測定した。
それらのバイアスと社会不安・抑うつ・状態不安・特性不安との関係を探る。
*1:シナリオ提示場面での(on-line)解釈ではなく
*2:ポジティブバイアスとネガティブバイアスは連続体上の両極ではない可能性がある
方法
被験者:大学生と大学職員102名
手続き:
1.シナリオ提示×20シナリオ
2.フィラー課題
3.各シナリオのタイトル提示
4.4択の解釈文を提示し,それぞれについてシナリオとの類似度を回答
ポジティブ・シナリオ関連
ネガティブ・シナリオ関連
ポジティブ・シナリオ無関連
ネガティブ・シナリオ無関連
5.社会不安・状態・特性不安,抑うつの質問紙
相関を検討した。
社会的状況シナリオにおける
ネガティブバイアスは 社会不安と正の有意な相関
状態不安・特性不安・抑うつとは無相関
ポジティブバイアスは 社会不安と負の有意な相関
状態不安・特性不安・抑うつとも有意な負の相関
・非社会的シナリオにおいてはいずれの尺度とも無相関
・ネガティブ/ポジティブ比(一次元性を仮定して)にした場合も無相関
そんなわけで以下の考察。
1.ネガティブバイアスとポジティブバイアスは別物であることを示唆
2.ネガティブバイアスが社会不安にのみ関係する
ポジティブバイアスは,社会不安を含めたもっと広範な不快感情と(負方向に)関係する
3.社会不安の認知療法では,ネガティブバイアスを減少させることのみでなく,
ポジティブバイアスを「持ち上げる」ことも効果がある(はず),ということを示唆
# 体裁は質問紙ですが,内容的には実験のようなもの,という論文でした。
# 被調査者102名,基本は相関の検定(実は重回帰分析もしてますけど)ということで,
「卒論をこれから書く人々にとっては」
なんというか,勇気と希望を与えるような論文でした。
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