[研究計画書 心理]検索者へ
あいかわらず多いですね,この検索をする人(たち?)。
お受験?
シーズン的なものもあるんでしょうが。
出血大サービスで,
それを書く前にあらかじめ,何をしていなくてはならないか,
教えてあげましょう。
特に,いわゆる「臨床」系心理希望の人へ。
[背景と目的] 編
1. 書く前に,何をしたいか決まっていなくてはなりません。
2. 何をしたいかは,あなたの興味や関心がそれだからとか,
世の中にこういう現象があってそれを調べたい,みたいな
漠とした,ジャーナリスティックな視点の,
あなたじゃなくても書けそうなことを書いてはいけません。
3. 何をしたいかを決めるためには,「先行研究」と呼ばれる論文を
あたう限り多く見て(必ずしも読んでなくてもいい)いなくてはなりません。
その辺で売ってるような「本」では,おはなしになりません。
4. その「先行研究」にどういうものがあるかを知るためには,
したいことが専門用語に翻訳されていなくてはなりません。
見つからないなら,近縁の用語を発見していなくてはなりません。
業界用語!
その時点で,用語の概念を理解してるはずです。
また,近い範囲内でこういう概念がある,こういう概念がない,というマップが
頭の中にできてるよねきっと。
5. 何をしたいかは,以下のみっつの場合にしか定まりません。
ア)これまで誰もその研究をしたことがない。絶対に,といえるくらい自信をもって。
(誰もしたことがないことを明らかにするためには,
たくさんの論文を,少なくともabstractレベルで見ていなくてはならない)
イ)これまでの類似した研究には,結果にばらつきがあり,決着がついていない。
(ということが複数の論文から明らかであることがわかってるんだよね)
その論争を解決に導くにはこうしたらいいかも,と思えるようなアイディアがある。
ウ)先行研究(の考察の最後あたり)において,「今後の課題」と明示されている事柄。
6. それぐらいわかっていれば,「研究の意義」,つまり
その研究をしたら,
社会に対してどういういいことがあるのか,
何に対して自分が貢献できるのか,言えるのでは。
*
[研究の方法] 編
7. 「研究の方法」が書かれていなければ,研究計画書と呼びません。
8. 心理学で方法と言えば,
対象
刺激・装置・尺度(研究に用いるどうぐだて)
手続き(実施時の手順とか;せめて実験なのか質問紙調査なのか観察なのかくらいは)
の三点セットが不可欠です。書かれていて当然な事柄です。
実験の実習などでレポート書くときに習ったでしょ。
あなたの想像力とスペースの許す限り,具体的に。
9. 本来,その計画でデータを取った後に,どういう(通常は統計学的な)分析をすると,
答えが出るのか,あらかじめ分かっているはず。
これは「結果の予想」。そこに先行研究の知見を交えれば,
「仮説」なるもの(たち)が立てられるはず。書いてみたら。
知識や経験があるなら分析手法も簡潔に書いてみたら。
10. 時間的予定を考えておくと,その計画が2年なり5年というスパンで
あまりに壮大すぎてできっこないとか,
あまりに少なすぎて半年で終わっちゃいそう
とかいうことなく,適量な計画になるでしょう。
その計画の具体化レベルを感じるためにも,スケジュールから考えるのは意味がある。
*
前にも書きましたが,
以上のことができない,できていないようなら,
どうか受験しないでください。
~お金(あなたの)と時間(あなたと私たち双方)の無駄です。
もうひとつ,
どこにでもあるような研究しか思いつかない,
オリジナルな「研究」をしない,する気がないなら
大学院には来ないでください。
~受験資格を得るための専門学校のようなもの,ではありません。
検索してる場合じゃないし,
研究計画書をどのように書けるか,書けているかも
能力の証みたいなものですから。
*
とりあえず,自分のことは棚にあげといて。
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