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19 janv. 2006

臨床心理学演習Ⅰ(学類)3-5

Overgeneral Autobiographical Memory
as Depression Vulnerability

「抑うつの脆弱性としての,過度に一般化された(overgeneral)自伝的記憶」

森田さん担当。

具体的なエピソード,具体例を語ることを求められている場面で,
それを答えず/答えられず,出来事のカテゴリー・抽象的なことを思い出し語ってしまう傾向を
過度に一般化された記憶」と呼ぶ。
これまで,自殺念慮や抑うつ,虐待経験,などとの関係が検討されている。
これは,一般的な記憶想起プロセスである
  カテゴリカル
     ↓
   具体例
という流れの「↓」部分が,
「思い出すことで精神的に打撃を受けることを無意識的・習慣的に避ける傾向」により
抑制されるからだ,と説明されてきた※。

しかし,非臨床群での検討はほとんどなく,同様の知見が得られるか不明。
そこで,やってみた。

 *

AMTという自伝的記憶課題を使用
(カードに書かれた単語にまつわる自伝的記憶を想起し回答する)
そのほか質問紙で,抑うつ,トラウマ経験,回避・侵入,解離性体験,思考抑制などを測定(T1)。

ストレス(否定的ライフイベント),抑うつを測定(T2)。

 *

「過度に一般化された自伝的記憶」と上記各尺度との単相関はいずれも有意ではなかった。

T2抑うつを従属変数とする階層的重回帰
ステップ1 T1抑うつ投入,R二乗=.40
ステップ2 「過度に一般化された自伝的記憶」数(n.s.),
       否定的ライフイベント(p<.01)          R二乗=.43
ステップ3 交互作用項(p<.01)                R二乗=.47
...というわけで,
T1において過度に一般化された自伝的記憶数が多い人たちが,
否定的なライフイベントを多く経験するとT2の抑うつの程度が有意に上昇する,
ストレス脆弱性モデルが妥当な結果が得られた。

 *

「過度に一般化された自伝的記憶」は抑うつの脆弱性のひとつと考えられる。

※で示された説明,すなわち
過度に一般化された自伝的記憶は,回避的傾向によって生じる,とする説明は
今回のデータからは支持されなかった,見直しが必要かも,と。

 *

具体的なことをなかなか語らないという現象は,それなりに経験するところですが。
 抑うつ →(ゆえに)→ 語らない なのか,
 語らない傾向 →(ゆえに)→ 抑うつ なのか,
因果関係ははっきりしないところがあったわけです。
この研究では,後者を支持するような結果が得られて,少し前進な感じですが,
それでもなお,
なぜ「具体的な自伝的記憶を語らない/語れない」ことが抑うつの脆弱性になるのか,
メカニズムという点では,
全然すっきりしない。

 *

このロジックをスナオに発展させるならば,
  びっしり詳細にわたって具体的に記憶を想起するトレーニングをし,
  それがきっちりできるようになると(過度に一般化された想起をしなくなると),
  抑うつの程度を弱められる,ということになりそうです。

抑うつ軽減のための記憶想起療法」。
はて,ありうるだろうか。

       

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