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11 janv. 2006

なかなか難しいんですな

以前にこんな記事を書いたことがあるのですが,やっぱりそう思います。

きっかけは,「心理職の国家資格化実現検討委員会(byつなで)」さんの「学ぶ機会を増やすには」です。


「臨床神経心理学」を,心理学の科目のひとつとして学ぶことのできる場所が少ないのはたしかです。

   そもそも,「臨床」もついていて「心理学」もついているから,
   「臨床心理学」の一部であったりするように思われがちなところに問題がある。

   ふつうイメージされる「臨床心理学」とはまったくのベツモノである,
   という認識からスタートした方がいい。
   アメリカではどうこう関係なく。



学べる場所が少ないのは,教える教員が少ないからです。

教える教員が少ない理由は,この学問に「コウモリ」のようなところがある,
という,学問の本質的?特性からきていると考えられます。
 「コウモリ」とは,
 マクロな生理心理学みたいなものと思われたり("臨床系"の人々から見れば),
 特殊な臨床心理学みたいなものと思われたり("基礎系"の人々から見れば)。
 要するに,どちらからも外れている(=みたいな)と思われる,ということです。

「コウモリ」のようだと,アカデミックなポジションにつける可能性がそれだけ低くなります。
その専門性を正当に認識してくれる人がそんなに多くはないからです。

アカデミックなポジションに人がいないと,
学びたい人にとっては,教わる機会を得ることが少なく,
したがってしっかりと学ぶ人が少なくなります。

しっかりと学ぶ人が少なければ,それを専門とする人が増えようがなく,
教える人も増えようがありません。

(そして冒頭の → へ戻る)

 ~ といった,デフレスパイラル様状態ができあがる,というわけです。 ~

 *

仮に,「臨床心理学の中に「臨床神経心理学」を位置づけよう」としても,
やはり脳損傷患者さん,神経心理学的症状を呈する患者さんに出会う機会が,
今の「臨床心理系の」大学院システム(とそこにいる大学院生)では
構造的に得にくいのではないだろうか,ということです。
(これは,つなでさんの言われる,医学と臨床心理学の関係,ということになるのかもしれない)

ごくごく一般論ですが,診療科でいえば,精神科というよりも,まずは
脳損傷患者さんといえば神経内科や脳外科,リハビリテーション科ですから。
神経内科に見学とか実習に行きたい,などという大学院生にこれまで出会ったことがありません。
(教わる機会が少ないんだから,発想にないでしょうし,他に魅惑的なところがいくつもあるんでしょう)
そして,
必要あっての...必要に迫られた「神経心理学的アセスメント」でなければ,
得るところはあまりないのではないでしょうか。
(「心理統計」をモノにするのと本質的なところで同じ原理)
患者さんなくして,アセスメントはないのです。

 *

最後に,やはり神経心理「学」はアカデミックな側面が強いと思うのです。
脳と心の「しくみ」がどうなっているのかを知りたい,というサイエンティフィックなところが
まず先にあって,プラクティスの部分はむしろ派生的です。
認知リハビリテーションもそうです。

「しくみ」も明らかでないのに,
どうして効果的なプラクティスなんてものがありうるのだろうか,
とか考えてしまいがちです
(これは私だけなのかも)。

 *

一応私は大学院の授業で,「神経心理学」の講義をしておりますよ。
「臨床心理学特講」という授業の一部で。
1学期間だけですが。

 *

それは実態なわけですが,

私自身は,私の生い立ち上,
臨床心理学という枠組みの中で神経心理学を学ぶ,
といった発想には実のところ,どうしてもなれず/なじめず,

神経心理学を学びたければ,
臨床とか基礎とかゴタゴタいわずに(というか,言われても気にせず),
純粋に神経心理学を学んだ方がよいと思う。
そういう場所は少ないんだけどさ。皆無というわけじゃない。

そういう意味で,
臨床心理士とか医療心理師とかの「資格」とは簡単に結びつけない方が
よいのではないかと思ったり思わなかったりする。
授業科目にしてもらうのはいっこうに構わないんだけど(笑)

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Commentaires

m0ch1さん
はじめまして。
私のブログに言及していただいてありがとうございます。

>「しくみ」も明らかでないのに,
>どうして効果的なプラクティスなんてものがありうるのだろうか,

「しくみ」を明らかにする作業と、
プラクティスを効果的なものに洗練する作業とが、
幸福な連携をもって行えるような業界というのは、
夢のまた夢かもしれないのですが。

今の心理学業界には、何だかノイズが多くて、
「臨床」がついたとたんにザワザワします。
国家資格というのも、大変なノイズといえばノイズですね。
みんなの仕事の邪魔にならないように、
今いる世代のうちにはいい方向に片づかないものかと思って、
国家資格のブログをしています。

そういうノイズのできるだけないところで、
どうかよりよい研究をなさってくださいね。
私は、神経心理学にはワクワクするほうです。
楽しみにしています。

Rédigé par: つなで | le 12 janv. 2006 à 00:38

つなでさん

コメントいただきありがとうございます。
久しぶりにTBさせてもらいました。
(私自身はあまり余所のブログにコメントしたりTBしたりしないタチでして)
ものを考えるきっかけを与えてくださったことに
感謝です。

ノイズ,という感じは今までなかったのですが,
たしかに「注意をdistractするような」効果は
あるかもしれません。
今回立ち上がった?立ち上がっている?この「騒動」がなければ,
意識しないようにしている事柄を,
確実に意識させられてますので。

> そういうノイズのできるだけないところで、
> どうかよりよい研究をなさってくださいね。
> 私は、神経心理学にはワクワクするほうです。

ありがとうございます。
できるだけ,
がんばってみますよ。

Rédigé par: m0ch1 | le 14 janv. 2006 à 17:58

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