携帯電話使用の神経心理学
Neuropsychological sequelae of digital mobile phone exposure in humans
携帯電話の発する電磁波が,神経心理学的課題の遂行にどう影響を与えるか。
8種類の神経心理学的課題を使用。
→ (simple) reaction time および choice reaction time の反応時間が遅延。
Trail Making Task Bの完遂時間(およびBマイナスA)が短縮=改善!!
Trail Making TaskのBってなに?
という人は知らなくてけっこう自分で調べてください。
そのTMT-Bの結果は,
「携帯電話の電磁波は,ワーキングメモリ関連の反応時間を改善させる効果があるという仮説」
を支持。
そんな仮説があることも知らなかった。
TMT-BがWM課題と解釈されるというのも,ちょっと抵抗感。
*
とはいえ,
携帯電話使用が脳に(脳活動に)
必ずしも悪い方向の影響ばかりを与えるのではない
ってのは面白い知見ではないでしょうか。
(いくつか,先行研究もあるようなんですが知りませんでした)
「 01. BRAIN 【脳】」カテゴリの記事
- 神経心理学演習12-10(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-9(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-6(2012.05.08)
- 神経心理学演習12-5(2012.05.08)
- 神経心理学演習12-08(2012.05.15)
「 03. ARTICLES 【篇】」カテゴリの記事
- 120724[mz1] Cogn. Ther. Res. 36-4(2012.07.24)
- 神経心理学演習12-10(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-9(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-6(2012.05.08)
- 神経心理学演習12-5(2012.05.08)
L'utilisation des commentaires est désactivée pour cette note.
Commentaires
先日は迂闊にも名無しでコメントした作業療法士です。失礼しました。
電磁波を肯定的に捉える勇気に感服です(笑)。
とはいえ、TMT-Bは注意の切り替え(いわゆるセットの転換ですかね)に該当すると思うので、厳密にはworking memoryとは異なるかと。
むしろ、携帯の使用頻度や用途など個人的因子はノイズにならないんですかね?
メールを打つときには、わずか12個のキーの中に内蔵された複数種類の文字・記号を瞬時に切り替えるスキルが必要ですし、少なくとも僕より若い方はその能力はかなり般化されているような気がします。
でもおもしろいので、機会があれば全文読んでみます。
Rédigé par: OTパパ | 03 juil. 2006 09:06
OTパパさん,
コメントありがとうございます。
携帯電話使用歴のような変数はとっていないようです。たしかに気になりますね。
いちおう実験デザインとしては,
pre-exposureとexposureでのパフォーマンス
(あと,realな電磁波を受ける条件 vs. sham条件),
2要因repeated-measures ANCOVAということになってますから,
(比較的短期間での)個人内での変化を対象にしているようです。
TMT-Bがよくなったことの解釈としては,
そのような電磁波下において,前頭前野背外側部の脳血流量が増大した,との研究を挙げています。
OTパパさんのおっしゃるように,携帯メールをすばやく打つのはけっこうなスキルだと思います。
(私なんかは,数字を入力したいときそのまま打ってしまい,"かな"表示され"かなしい"ときが多いです)
なんかこのあたり,ちょっとした(研究費の獲得できそうな)研究ネタのヒントになりそうです~
『携帯メール使用の神経心理学』とか。
Rédigé par: mochi | 03 juil. 2006 13:18
なるほど。そういう実験環境なんですね。
ならば個人的要因はノイズにならないですが、年齢によっては(いわゆる若者ですね)、2回目の検査時に学習効果があったのではないかとか、色々気にはなります。
年を取ると懐疑的になって嫌ですね(笑)。
個人的には電磁波よりも、携帯の操作スキルが遂行能力や言語能力に与える影響の方に興味があるので、学生さん相手にデータ取ってみよっかな、などと考えていたのですが、今は時間が…
おもしろい研究成果が得られたら、是非報告してください。
楽しみにしています。
ちなみに私のメールも、特殊記号も顔文字もない平坦な文章な上、変換ミスの嵐です。情けなし。
Rédigé par: OTパパ | 03 juil. 2006 17:38