臨床心理学演習Ⅰ(学類)06-2-3
Selective visual attention for ugly and beautiful body parts in eating disorders
摂食障害における,醜い身体部位および美しい身体部位への選択的視覚性注意
...を眼球運動計測で検討。
手代木さん担当。
身体像の歪みは摂食障害の主要な特徴のひとつ,
特に「外見」手がかりに選択的に注意が向く,ということが
あれやこれやの方法で既に検討されている。
しかし,本当に「注目」しているのだろうか。
そこで,眼球運動(や瞳孔の大きさや瞬目)を計測することで検討してみる。
参加者は標準的体重の女性,摂食障害傾向の高低を質問紙で群分け。
首より下を写真撮影された。
19ヶ月後(なぜ19ヶ月かは不明),
実験に参加。
1)他者1の写真→自分の写真→他者2の写真を30秒間ずつ見せられ,
そのときの眼球運動・瞳孔を測定。
2)その後,同じ写真が1分ずつ呈示され,
「最も美しいところ」「最も醜いところ」を指摘し,10段階で評価。
※眼球運動測定前・後,評定後の3回,気分をVASで尋ねる。
結果
★ 視線
当該部位を見ている時間の割合
→摂食障害傾向群は自分の醜い部位を見る時間割合が大きい。統制群は-。
凝視時間
→摂食障害傾向群は他人の美しい部位を凝視する傾向。
統制群は他人の醜い部位を,自分の美しい部位を凝視する傾向。
★ 気分 摂食障害傾向群で,測定後,評定後(写真暴露後)の気分がネガティブ。
★ 瞳孔サイズ 摂食障害傾向群で,自分の体を見ているとき瞳孔サイズが大きい
★ 瞬目 摂食障害傾向群で,自分の体を見ているときまばたき少ない
統制群では逆に,自分の体でまばたき多い
ということで,
摂食障害傾向者は,自分の醜い部位に注目している
(自分の美しい部位,他人の醜い部位に注目する,
非摂食障害傾向者にみられる"self-serving bias"がみられない)
↓
ただ暴露(exposure)療法すればいいってことではなく,
ポジティブな部位に焦点化するのがよろしいかと。
# 「自分の醜いところ,他人の美しいところに目がいく」という結果が
あたりまえな感じがするのは,
私に身体イメージの歪みかなんかがあるということでしょうか。
(もちろん,今回のは意識の話ではない,客観的な計測の結果なので次元は異なるだろうけど)
# 参加者は,「醜いところ」として太ももや尻や腹や太ももなどを挙げていたようですが,
それ以外に「ひざ」っていうのもあったらしい。
「ひざが醜い」ってどういうことさ...
# 参加者は女性限定でしたが,男性はじゃあどうなのか,やっぱり気になる。
(お約束のように,摂食障害→女性参加者,の思考パターン)
ホントに身体イメージの歪み→摂食障害→女性で多い,と考えたいのなら,
男性ではこれとは異なる結果が得られるんだ,ということデータで
論を補強してもよさそうなのに。
# 本日のまなびは
「美しいところを見よ,自分の,パーツの」
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