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12 oct. 2006

臨床心理学演習Ⅰ(学類)06-2-6

Self-Evaluative Biases in Social Anxiety

「社会不安における自己評価バイアス」

...追記しました(10/13 20:37

塚本さん担当。
social anxietyシリーズの第2回目。

high social anxietyな人々は,自分のパフォーマンスを低く評価し,
それを見ている他者はネガティブに自分を評価するだろうと思いこんでいる,
ということはよく知られている。

こういったことはなぜ起こるのか。二通りの考え方ができる★。
 (1)自分に対する基準が高すぎるから
 (2)全般的に基準が高すぎるから
   つまり,自分に対する基準も他人に対する基準も高い。
いずれがplausibleであるのかを検討した。

社会不安はSPINによって測定され,高社会不安群・低社会不安群が設定された。
被験者はまず,役者が演じる不安そうなスピーチまたは自信満々なスピーチの
ビデオのいずれかを見せられ,その発表の質を評価した→【A】。
 ↓
ついで,自分のスピーチを行い,発表の質を自己評価した→【B】。
 ↓
被験者の発表場面のビデオは第三者によっても評価された→【C】。

結果:
【A】見せられたビデオの効果は有意であったが,
  社会不安高低群間,および交互作用は有意ではなかった
   →社会不安の程度による,他者スピーチへの評価に違いはみられなかった。

【B】社会不安高低群間の評価差は有意であり,
  高群は,不安を高く,パフォーマンスおよび印象を低く自己評価した。
  見せられたビデオの効果は有意ではなかった。
   →予測通り,高社会不安群は自らをネガティブに評価した。

【C】第三者評価では,高社会不安群のパフォーマンスに対して
  不安が高く,パフォーマンスおよび印象が低く評価された。

第三者評価(外的に観察される行動)を共変量にして
共分散分析を施しても,自己評価結果は【B】と同様であった。

結論:
高社会不安群は,自らのパフォーマンスをネガティブに自己評価する。
他者のパフォーマンスの評価は,低社会不安群と違いはない。
よって,★の問いは,(1)がplausibleである。

 *

この論文,特に【目的】の部分の書き方が見事にスマート。お手本にすべし。
 必要なことをできるかぎり簡潔に述べる。
 余計なことはいっさい書かない。

 *

発表者の塚本さんは,この論文の誤植を一ヶ所発見しました。

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