臨床心理学演習Ⅰ(学類)06-2-8
「自己志向的完全主義と,そのポジティブ感情・ネガティブ感情との関係:
ポジティブ・ネガティブ完全主義認知の媒介」
大曽根さん担当★。
自己志向的完全主義(SOP: Self-oriented perfectionism)とは,
「自分に対して厳しい基準を設定し,自身の行動を厳しく評価すること」である。
SOPはこれまで,不適応的な側面にも,適応的な側面にも関連があることが示されていることから
どうやらこのパーソナリティ特性から導かれる2つのタイプの「認知(意識的思考)」があり,
それらがそれぞれ,ポジティブに,またネガティブに作用するのだと推測できる。
それらは,
「高目標設置(PS: personal standards)」と「ミスへのとらわれ(CM: concern over mistakes)」
である。
SOPはPSやCMを導くが,そのどちらをより導くのかについてのメカニズムはあまり知られていない。
が,先行研究から,仮説として
接近目標の存在→PS→ポジティブ感情
回避目標の存在→CM→ネガティブ感情 というプロセスが想定される。
それを検討。
研究1では,質問紙調査で構造方程式モデリングで検証。
その結果,
CM→ポジティブ感情への負のパスがみられたこと以外は,仮説通り。
研究2では,ストループ課題を実施するが,接近目標/回避目標を操作して,
1)SOP高群と低群で,目標タイプに応じて,PSやCMの点数が変化し
(SOP高群で,目標タイプ間での差が大きくなると予測),
2)PSとポジティブ感情,CMとネガティブ感情に関連がみられることを検証。
その結果,
PSに関しては1)を支持する方向の結果が得られた。
2)に関しては,課題成績の影響を取り除いても,そのような(偏)相関が認められた。
*
そんなわけで,本日の学び&疑問は,
・「完全主義傾向」を測定する際に,ふつう単純にパーソナリティ特性ととらえがちなのだが,
実はどういう目標を持っているかによって変わってくるかもしれない。
・適切な状況下では自己志向的完全主義はポジティブな側面を表すが,
目標自体が接近から回避に変化したり,接近目標がCMを導くこともありうる
→ 結局,「接近目標」を持てばいい,というほどには単純じゃない。
・自己志向的完全主義傾向のある人がラクになるためには,ほどほどの目標を設定すれば
いいとも考えられるが,それはかなり困難ではないか?SOP→PSなので。
*
★いつもとメガネが違ってたのは気合いのあらわれだったのでしょうか。
☆今期はスピーディーに進行しすぎなような。質疑応答が足りない(おとなしい)。
みなさんが「どんな声でどんなしゃべり方をするのか」私にもっと聞かせてください!
◎今日の検索フレーズに,
「臨床心理学I 完全主義」っていうそのものズバリなのがあったのですが。
担当者ご本人?
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