臨床心理学演習Ⅰ(学類)06-2-9
Do blushing phobics overestimate the undesirable
communicative effects of their blushing?
『赤面恐怖者は赤面することがコミュニケーション上の望ましくない効果
を与えると過度に評価しているのか』
追記しました(2006.11.11AM)
山本さん担当でした。
誰もがみな,時には赤面することがあるのに,
なぜそれをしないようにしたり,隠そうとするのか。
そして一部の人々は,「赤面恐怖」に陥るのか。
赤面に対する評価の偏った解釈が,その原因かもしれない。それを検討。
「赤面」の機能的側面は,ふたつあると考えられている。
第1に,意図的でない失敗や自発的な違反の後の赤面には「救済効果」がある
(照れ隠し;観察者が持つ,行為者に対するネガティブな印象を和らげる効果)
第2に,曖昧な社会的状況後の赤面には,「行為者の行為が意図的である」
ことを観察者により強く感じさせてしまうという,逆の効果もある。
したがって,この第2の側面が強いとき,
赤面恐怖者は
「赤面を望ましくないものとして過大評価する」バイアスを有し,
そのバイアスは,
「行為者の属性に対する観察者の判断を,行為者側がネガティブに過大評価する」
ことになるだろう。
実験:高赤面恐怖傾向群 vs. 低赤面恐怖傾向群に対し,
4種類のビネット(小話)を読んでもらい,「登場人物があなただったら」どう思うかを評価する。
4種類とは,2カテゴリー(失敗,曖昧な状況)×2反応(赤面した,赤面しない)
評価は,VASスケールで,
1.観察者であるところの他人が,(あなたの)行為を意図的だとする確率の推定
2.観察者が意図的だと感じたときに,(あなたが)どのくらい苦痛を感じるか
3.観察者はその状況を,どのくらい重大だと感じるかの推定
4.観察者は(あなたを)どれくらい信頼できる人物と思うかの推定
5.観察者は(あなたを)どれくらい望ましい人物と思うかの推定
結果:
1.高群の「意図性推定」は高い。
2.高群×曖昧状況で,苦痛をより感じる。
3.高群×曖昧状況で,重大さを大きく見積もる。
4.高群×曖昧状況で,行為者の信頼度を低く見積もる。
5.(群の主効果なし)。
というわけで高赤面恐怖傾向群は,
自分の行動を,他者が社会的に望ましくないと解釈する,と考える傾向が高く,
またそれをより苦痛に感じ,
自分は信頼できない・望ましくないと思われている,と考える傾向が高い,
ことが明らかとなった。
*
今学期「レポ組」5名の方々のレポートもめでたく受領しました。
緒形さん↓「思考抑制と不安のinduction」
Singular and combined effects of thought suppression and anxiety
induction on frequency of threatening thoughts: an experimental investigation
奥さん↓「解釈傾向と社会不安」
Interpretation bias and social anxiety
坂口さん↓「語彙の感情的カテゴリー化と不安」
Anxiety-related differences in affective categorizations of lexical stimuli.
鈴木さん↓「痛みと症候のスキーマ的理解:cognitive miserの観点から」
Understanding the schematic representation of pain and general symptomatology:
the contribution of the cognitive miser perspective.
樋口さん↓「社会不安における,脅威の視覚的表象の記憶と解釈」
Memory and interpretation of visual representations of threat
in socially anxious and nonanxious individuals.
受講生諸君は,他のメンバーの力作を放置せずちゃんと読んでおいてね。
レポートは私のためだけではなく,なによりもみなさんの学習のためなのですから。
12月になったら,抜き打ちテストでもしてみようかしらん。
*
ああ,もうなんかこっちも終了した気分。
来年のことも考えないとなぁ...
3学期も,もちろんあるんだけどさ。
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