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03 févr. 2007

神経心理学的検査課題を調査してみた

ゆえあって(★),「神経心理学的検査・課題」についてあれこれ考えている。

多種多様な神経心理学検査・課題が開発され使用されているという状況で,
そもそも,

どういう神経心理学検査がふだん用いられているのか」,

その実態を調査した研究は
管見の限り存在しない。
(↑そういう難しげな言葉も知っている)

そこで,
日本を代表する神経心理学的・高次脳機能障害学的専門学会誌であるところの

 (私が会員であるゆえその雑誌が手元にあるという理由ですが)

『神経心理学』(日本神経心理学会),および
『高次脳機能研究(旧・失語症研究)』(日本高次脳機能障害学会・旧日本失語症学会)
のうち,
過去10年間(1997年~2006年)に刊行された原著論文にあたり,

 (それより先のバックナンバーはなかったりするという理由で)

(※神経心理学研究→114本;高次脳機能研究(旧・失語症研究)→126本;計240本)

神経心理学検査・課題(知能検査含む)が用いられているとき
それを論文の本数単位でカウントして
使用頻度の高い順にランキングを作ってみることにした。

公開してみましょう。
若干の数え間違いはあるだろうが,おおまかには以下のようです。

順位 検査名 (使用数)

1   SLTA 標準失語症検査 (107)
2  WAIS-R ウェクスラー成人知能検査改訂版 (106)
3  RCPM レーヴン色彩マトリクス検査 (78)
4  MMSE Mini-Mental State Examination (71)
5  WAB 失語症検査日本語版 (47)
6  ROCF Rey-Osterrieth Complex Figure (44)
7  数唱課題(順唱) (35)
8  Benton 視覚記銘検査 (34)
8  Kohs コース立方体組み合わせテスト (34)
10  WMS-R ウェクスラー記憶検査改訂版 (30)
10  語流暢性・語列挙・語想起課題(カテゴリー) (30)
12  三宅式記銘力検査 (28)
13  立方体模写課題 (27)
14  WCST ウィスコンシンカードソーティングテスト (26)
14  語流暢性・語列挙・語想起課題(語頭音) (26)
16  数唱課題(逆唱) (25)
17  (R)AVLT Rey聴覚性単語学習検査 (23)
18  ADAS Alzheimer's disease assessment scale (21)
18  HDS-R 長谷川式簡易知能評価スケール (21)
18  線分二等分課題 (21)
21  CDR Clinical Dementia Rating Scale (20)
22  線分抹消課題 (15)
22  100単語呼称課題 (15)
24  TMT Trail-Making Test (13)
24  VPTA 標準高次視知覚検査 (13)
24  Stroop ストループ課題 (13)
27  BIT 行動性無視検査 (10)

いかがでしょう。
 専門家の皆様 > どれくらい実感や実践とマッチしてますでしょうか。
 専門家というより周辺領域心理系の皆様 > どれくらいご存じでしょうか。教わりましたか。

 *


→"ゆえ"でもなければこんな面倒なことはなかなかしませんねふつう。

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01. BRAIN 【脳】」カテゴリの記事

Commentaires

MMSE, HDS-R, 三宅式とかかなと思ったら、SLTAですか!!普通に驚きました。いかに失語だのみの分野だったか、ということでしょうか?
WAIS,RCPMもけっこうメンドイ課題ですよね。「論文で記載されてる」というバイアスがあるんでしょうかね。

Rédigé par: kob@tokyo | 04 févr. 2007 00:38

専門家的コメントありがとうございます。

もちろんケースでもグループでも言語関連の論文が多く,
かつては「失語症研究」だったということもありますが,
要は,聴く・話す・読む・書く・計算の【いずれかに】低下が
見られるときは,その低下されるところだけではなく,
言語機能【全体のなかで】どうなっているのかを示さなくては
ならない,と考えるのでしょう。
知能検査系(WAIS,RCPM,Kohs)が上位にあるのも然り。
何はともあれ,【全般的知能状態】を示そうと。

私にとって意外感があったのは
HDS-R(思ったより少ない),
RCPM(思ったより多い),
gambling課題を用いているのはゼロ。

ところで,
VPTAよりも前から存在したはずのSPTA(標準高次動作性検査)が
こんなにも「使われていない」のはどうしてなんでしょうねえ~。
決して,適用すべきケースが極めてまれということはないと思うのですが。
この検査自体に,何かこう不全感があるんだよな,実感として。

 *

心理系一教員としては,
これらの神経心理学検査の存在そのものからして,
心理系の学生さんやら院生さんやらにどれくらい教えられているのか
(ほとんど教えられていないと思う)
気になるところ。

Rédigé par: m0ch1 | 04 févr. 2007 08:05

ややお久しぶりです。
ちょうどこういうテストの種類について勉強していたところでした。
どれがどんなテストなのか解説してあるお勧めの本ってありますか?
実際のテスト集は個人購入レベルでないという感じがしまして・・・
いいものがありましたら教えてください!

Rédigé par: shibu | 05 févr. 2007 13:50

ああ,そういう情報は必要ですよね。

定番品は『神経心理学評価ハンドブック』(西村書店,2004)だと思いますが,
たしかに【個人購入レベルではない】な(→8,500円+税)。
比較的お手頃価格で検査のことがほどほどに書いてあるのとしては,
『高次脳機能障害ポケットマニュアル』(医歯薬出版,2005)
でしょうか(→2,000円+税)。

Rédigé par: mochi | 05 févr. 2007 14:23

早速ありがとうございます☆
購入検討してみます~。

Rédigé par: shibu | 05 févr. 2007 21:27

お久しぶりです。

とても興味深いランキングをありがとうございます!
HDS-Rの頻度はかなり意外でした。
ちなみに、私のこの数ヶ月の中でHDS-Rは堂々の第一位です・・。

失語の方の訓練もかなり苦戦していますが、今はUSNの方の訓練で一番行き詰まってます。

プリズム眼鏡ってどうなのでしょうか~。

Rédigé par: 富子 | 19 juil. 2007 22:20

富子さん

「現場」でのお仕事,お疲れさまです。

MMSEを載せてしまうと,実際には施行していてもHDS-Rの方は載せなくていいか,
ということになるんでしょう。
あるいは,やっぱり,「模写」がどうかも見たいよね,とか。

USN,訓練っていう話になると難しいですね。USNに限ったことではないですけど。
あれこれの試みはあるようですが,
こちらの↓
http://www.neurology-jp.org/guideline2003/5_0210.html
ガイドラインによると,プリズム装着は(グレードC1)で,
運動時に無視空間に対し手がかりを与えること(グレードB)
とともに,勧められてます。
なんとかして無視側のawarenessを【●●●●配分として●●】高める,
もしくは
無視側へ「注意が向くこと」を【←←方向として←←】促す,
ということですか,原則としては。

Rédigé par: m0ch1 | 19 juil. 2007 23:18

ありがとうございます!!

運動時のプリズム眼鏡装着が推奨されているんですね。
PTにも話してみます!

「現場」は他職種(主に看護士さん)に気を使い、ご家族に説明し納得してもらい・・。
「リハビリ」だけやってればいいわけではないということを、身をもって実感してます。

しかし私にとって「研究」はそれ以上に大変なものだったので、
しばらくは「現場」でがんばります★

またよろしくお願いします。

Rédigé par: 富子 | 20 juil. 2007 00:25

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