論文を研究者に無断で使用していたことが明らかになった?それで?
(よくわかっていないから,少々的外れかもしれない;訂正すべき点を教えてくれると大歓迎)
某テレビ局某番組で,某論文を放送したことが某週刊誌に掲載され,
巷では話題になっているらしい。
その論文を書いた研究者からは,番組への「出演」「研究紹介」は断られたが,
番組は論文掲載誌に承諾を得て,研究者には知らせぬまま,件の論文を放送したという。
放送内容が,研究者の意に添わない内容であったらしいことは,もちろん推測できる。
しかし,
さて,
これはいったいどこにまずいところがあるのでしょうか?
まず,研究者であるところの私たちは,
誰か他の人の書いた,公刊されている論文を自分の論文に引用するときに,
いちいちその著者におうかがいをたてたりしない。
(そんな面倒くさいことをしなくていいように,公刊されてるんじゃないか)。
あ,でもお伺いを立てられたことは一回経験がありますが...
一般論として,誰からも引用されないよりは誰かに引用される方がうれしい。
それで,自分の論文が引用されているとして,
その内容や方法に疑義や反論や不適切さがあるときには
(もちろん怒ったり呆れたりしながら),
その引用者に対して直接抗議することはありうる。
しかしそれは,引用した論文(または引用者)-引用された論文(または被引用者)間の問題であって,
周囲がどうこう言うべき問題じゃない。
番組内容にいきすぎた点があったならば,
「その内容自体」に対して謝罪するのならいい,でも
「引用したこと」について謝罪するのは,なんだか腑に落ちない。
その某放送局は謝罪的に見解を発表しているようだが,
「論文の使い方に不適切な点があったかもしれないことを
著者からの抗議に応じて著者に対して謝罪した」
のなら話はわかるが,
(それを公の場で発表する意味は,わからないけれど)
「論文を使用したこと」それ自体,
「研究者にそのように通知せず放送に使用すること」,
(↑論文の著作権が雑誌の出版社とか学会とかに委譲されているならなおのこと)
は,なにも問題はないように思うのだが。
いかがなものでしょう?
むしろ,二匹目のどじょうを狙ってかなにかしらないが(表現はあってるか?)
そういうのをとりたてて,さも手柄のように週刊誌の記事にしてしまうような行い
のほうにこそ,問題はないのだろうか。
広告的に「無断使用」「ウソ解釈」という字をならべているようだが,
無断じゃないよね←論文掲載誌の承諾を得ているそうだから。
ウソ解釈じゃないよね←そもそも論文内容をどう解釈するかについては,
著者と読者の意見が常に必ず正しく一致する,なんてことは
まずないのだから。何がウソで何がホントかは,どこまでも
確実なことはいえないこと。
*
謎だらけ。
まあ,気が向いたらその週刊誌記事とやらを,読んでみますか。
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