失行のレクチャー
ああもう一週間経ったのねという感じで今回は失行。
まず
観念性失行,観念運動性失行,肢節運動失行という失行の分類を
Liepmannという偉い方がなさったわけですが,
研究者によって観念性失行を認めたり認めなかったり,
肢節運動失行を認めたり認めなかったり,
という見解の相違があること。
次に,
物品=道具使用(他動詞的動作という)と,
慣習的ジェスチャー(自動詞的動作という)を一般に検討対象として,
言語命令によるパントマイム/ジェスチャーや
模倣や
使用
などで検討することが常であるものの,
どれが障害されてどれが保たれていたら何失行,というようなシンプルな図式では
まったくない(失語系のタキソノミーとまったく異なる)うえに,
(またもや)研究者によってどの障害がどの失行に対応すると考えているかがまったく異なる
という現実。
さらに,
失行=意図的な行為表出の障害,といっても,
入力系とセットで考えないとダメみたい,ということもしゃべる。
なんて混沌とした話なんでしょう。
だからこそ<研究する>意義が多々あるわけなのだが。
印象では,学会会場などでは
失行や前頭葉性行為障害のセッションが一番白熱する(していた?)んだよねえ。
...おかげさまで,ずいぶんと鍛えられました。
脳梁失行,構成障害,着衣障害なんかも触れる。
あまりにマニアックな知識を授けすぎるのもなんなので,
ひじょ~うに自己抑制的にレクチャする。
系列動作の障害と遂行機能(前頭葉機能)障害の関連はあるのかないのか
という渋いツッコミを頂戴しましたが,
それほどないよね~おそらく。
たしかに,「段取り」という点では共通する要素がありそうなんだが。
PubMed様にもうかがってみましたが,ほとんどないみたい。
IAの患者さんに必ずしもEFの障害があるわけではなく,
EF障害の患者さんに必ずしもIAがみられるわけでもない,という印象もあり。
今日は私がホワイトボードに描いた
アイスピック と 錐(きり) を正しく視覚入力によって理解してもらえただけで満足。
*
というわけで
今回は,「したいのにできない」話。
次回(再来週)は,「したくないのにしてしまう」話。
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Commentaires
お久しぶりです。たまたま、余力があるので書き込みます。
>「したいのにできない」話
失行研究を、ですか(笑)。
私はボチボチやっていきたいなぁという感じです。のろしをあげていきたいところです。といいつつぜんぜん違うことをやってます。
Rédigé par: kob@tokyo | 21 juin 2007 17:40
ああ,なんかチクッと胸にささりました(笑)
そのような意味をも自分がこめていたとは,
気づいておりませんでした。
★
ちかごろお名前をメールやら封書やらでよくお見かけする気がします。
ご活躍のご様子。
「したくないのにしてしまう」,
agencyなしということでは,ないですよね?!
Rédigé par: mochi | 21 juin 2007 18:41
こりゃこちらも一本とられましたね(笑)。
もう、バリバリっす。
Rédigé par: kob@tokyo | 23 juin 2007 09:50