臨床心理学演習Ⅰ(学類)07-2-04
Mood congruent memory in Dysphoria: The roles of state affect and cognitive style
「抑うつ気分状態にある人の気分一致効果:感情状態と認知スタイルの役割」
中川さん担当。
気分一致効果についてはあれこれの研究があり,
BeckのスキーマモデルやBowerの感情連合ネットワークモデルなどによって説明されてきたが,
一時的な気分状態と,個人の安定した特性とが,どれくらいの割合でどのように
この気分一致効果に影響を与えているのかは,まだ未解明な部分が多い。
BDIが15点以上の人→(NAT群)
1~5点の人→2群に分割,実験的に抑うつ気分に誘導される(EXP群),されない(ND群)
を対象。
気分VAS評価→気分誘導→気分VAS評価
→提示されるポジティブ語・ネガティブ語が自分にあてはまるか否かを判断
→再生(偶発的記憶課題)
→再度気分誘導→気分VAS評価
→提示されるポジティブ語・ネガティブ語を記銘するよう求められる
→再生(意図的記憶課題)
→3度目の気分誘導→気分VAS評価
→帰属スタイル・自尊心・DASでスキーマ測定
結果。
★再生数★
偶発的記憶課題:ポジティブ語→ND>EXP・NAT
偶発的記憶課題:ネガティブ語→NAT>ND・EXP
意図的記憶課題では以上のような群間差は認められない。
★バイアス★(ポジティブ語再生数-ネガティブ語再生数)
いずれも偶発的記憶課題の再生において,
NAT群はネガティブなバイアス,EXP群はニュートラル,ND群はポジティブなバイアス
★認知スタイルや状態気分との相関★(偶発的記憶課題において)
ポジティブ語再生数:ポジティブ感情の高さ,ネガティブ感情の低さ
ネガティブ語再生数:ネガティブな帰属スタイル,低自尊心,DASの高さ,ポジティブ感情の低さ
が有意。
考察。
偶発的記憶と意図的記憶は異なるプロセス。
偶発的記憶のうち,
ポジティブ語再生は,一時的な気分の影響を受ける
ネガティブ語再生は,一時的な気分と,特性的な側面の両者の影響を受ける
ようなので,
ポジティブ語に対する気分一致効果はBowerモデルでの説明,
ネガティブ語に対する気分一致効果はBeckモデルでの説明,が妥当であろう。
*
この授業ではどちらかというと(というかずーっと)ネガティブなことばかり学習していて,
必ずしも意図的記憶課題にしていないから,
あえて偶発記憶課題状況を設定してみたら(抜き打ち筆記試験とか),
個人の安定的な特性の影響が大きく現れそう,ということでしょうか。
*
授業のあと,
来年の卒論のことでちょっとだけ「お問い合わせ」(平成20年度プレ"折衝")を受ける。
もうそんなシーズンか,と。
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