臨床心理学演習Ⅰ(学類)07-2-05
宮越さん担当。
社会的脅威状況下において,潜在的な自己像が
高社会不安傾向者と低社会不安傾向者で異なるかどうか,
(高社会不安傾向者はincongruent---self+negativeで反応時間が短い,などの仮説)
IAT(Implicit Association Task)を用いて調べるという話です。
*
[社会不安とIAT]の先行研究はいくつかあるが,結果が一貫したものではない。
さらに,
1)comorbidityの高い抑うつの影響を考慮していない
2)社会的脅威状況下になく,十分に非機能的態度をactivateできていない
これらの点を考慮して,「これからスピーチしてもらいます」という脅威状況下での
IAT,及び質問紙への回答を,高社会不安傾向者と低社会不安傾向者で比較する。
(IATが潜在的で,質問紙が顕在的・意識的)
IATは,自己・他者,およびポジティブ語・ネガティブ語。
※やり方は...言葉で説明するのが難しいけど,(こんなサイトで体験できます)
パソコン画面に提示される単語を見て,二つのキーで分類;反応時間測定。
尺度は,FNE,SIAS,SAQ(抑うつ研究でいうところのDASの社会不安版),SCQ
(抑うつもBDIで取っておいて,共変量にする)
*
self-positive,others-negativeというのがcompatible,
self-negative,others-positiveというのがincompatibleになるのですが,
そういうcompatibility×groupで分散分析すると交互作用が有意で,
compatible条件において,高社会不安傾向者群の反応時間が低社会不安傾向者より遅かった。
incompatible条件では,群間に差はなかった。
質問紙では,高社会不安傾向者がネガティブな自己評価をしていたり,などなど
(この他に,予期思考のspeak-aloudの中身も検討している)。
*
結論としては,IATの結果に関する仮説は支持されなくって,
社会不安傾向が高いと
潜在的な自己:ネガティブな評価をしていない。ポジティブではあるけれど,そのポジティブさが少ない。
顕在的な自己:ネガティブな評価をしている。
→ネガティブである,ということと,ポジティブさが少ない,ということはイコールではありません。
もっと研究しないとね。
*
実験としては,もうひとつ仕掛けがあったようなのですが,
due to technical errors,
その重要な点が検討できなかったって,何度も書いてある。
(スピーチしてもらいます,という話の前にもIATをしていたのに,データ喪失)
そりゃ残念でしょうけれど。
*
この授業では珍しく,時間いっぱい使って説明されてました
(レジュメもかぁっちりと作られてました=11ページ)。感心なことです。
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