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20 déc. 2007

臨床心理学演習Ⅰ(学類)07-3-03

Fear of Blushing: The Role of the Expected Influence of Displaying a Blush
on Others’Judgements

赤面恐怖:他者の下す評価に,赤面を示すことで期待される影響の役割

田口さん担当。

赤面恐怖者はなぜ赤面をおそれるのか
 ←通説:赤面に対する他者からのネガティブな評価を過剰に見積もるから?★
 ←しかし,状況によっては,赤面することのポジティブな効果も知られている
   (状況の深刻さを低下させる)

de Jong & Peters 2005という先行研究では,高赤面恐怖群の主効果は見られなかったわけだが,
そいつはおかしい→この研究ではふたつの問題点があった→それを修正して再度検討。
という流れ。

社会的状況(失敗場面・曖昧場面)×赤面状況の明示(している・していない)
の4条件のビネット(小話)を提示し,100mmVASスケールで
1) 観察者が評価するであろう,登場人物(であるところのあなた)の故意性
2) 観察者が評価するであろう状況の深刻さ
3) 観察者が評価するであろう評価そのものの信頼性
4) 観察者は登場人物(であるところのあなた)への好意度
を評価した。

それを,multi-level regression analysis(でstepwise)というちょいと高級な分析手法で分析。
 (なんでもその日,院生対象の統計の授業でやっていたとか)

回帰式でベータが有意であったのは,
1) 状況の主効果(正),登場人物の赤面の有無×回答者の赤面傾向の交互作用(負)
  ...赤面傾向の高い回答者は,赤面することで故意性の評価が低くなると思っている
2) 登場人物の赤面の有無×回答者の赤面傾向の交互作用(負)
 ...赤面傾向の高い回答者は,赤面することで状況の深刻さの評価が低くなると思っている
3) 状況の主効果(負),反応の主効果(正)
  ...回答者の赤面傾向にかかわらず,赤面することは他者の評価をポジティブにすると思っている
4) 登場人物の赤面の有無×回答者の赤面傾向の交互作用(正)
 ...赤面傾向の高い回答者は,赤面することで好意的に評価されると思っている

つまり,
赤面傾向・赤面恐怖者は,赤面することのポジティブな効果を(非赤面恐怖者よりも)期待している,
(ネガティブに考えていない)
ということになり,
★の仮説からすると妙な結果となってしまった。

 *

「問題と目的」「考察」があれこれ長く(思った通りの結果でなかったからしかたがない),
議論が複雑で,そのうえ英語もちょいと読みにくい感じで,難儀な論文でした。

 *

26日までは授業期間で27日から年末年始休業ですが,
確認すると,私にとっては年内の最後の授業でした。

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