臨床心理学演習Ⅰ(学類)07-3-07
Cognitive Vulnerability to Depression and Axis II Personality Dysfunction
抑うつとII軸人格障害の認知的脆弱性
佐藤さん担当。
抑うつと(いくつかの)人格障害は併存する傾向があることや,
人格障害を併発すると,抑うつの予後が不良になる傾向があることが,先行研究によって
指摘されている。
→ということは,なんらかの共通する認知的脆弱性が存在する可能性がある。
抑うつ研究の領域では,
非機能的態度(Beck),絶望感理論によるネガティブな帰属スタイル(Abramson,Metalsky,Alloy),
反すうスタイル(Nolen-Hoeksema)などがある。
これらと,(現在の)抑うつの程度と,過去の抑うつ経験,そして人格障害傾向を測定して
これらの関係を整理する,というのが目的。
いくつかの論文が出されている,CVDプロジェクトの一環。
ロジスティック回帰分析やMANCOVAなどちょいと高級な統計手法を用いたりして,
1) 認知的脆弱性は,人格障害傾向と有意な関連があり,
2) 認知的脆弱性は,クラスタAの妄想性,統合失調型,クラスタBの演技性,自己愛性,
クラスタCのすべて(回避性,依存性,強迫性)と関連があり,
反すうスタイルは,クラスタBの境界性,クラスタCの強迫性との関連が見いだされた。
*
「抑うつの認知的脆弱性」として研究されてきたことがらが,
「人格障害の認知的脆弱性」でもある,ということになると,
では抑うつに特異的な/人格障害のそれぞれに特異的な認知的脆弱性は?
という話になるような気がするんだけど。そういうことはあまり論じられていなかった。
研究のしすぎは諸刃の刃的なところがあるんじゃないかと。
でも考察はキビキビと抑制のかかったシンプルな文章で,そういうところは見習える。
*
3年生は,やはりというかなんというか,“人生的用務”によって欠席者多し。
来週の担当者も欠席だったが...よろしくお願いします。
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