臨床心理学演習Ⅰ(学類)07-3-08
Dysphoria and Hostile Cognition:
The Relationship Depends on Levels of Trait Anger
抑うつ気分と敵意的認知:その関係は特性怒りのレベルによる。
(就活面接出で立ちの;実際行って戻ってきたらしい)宮越さん担当。
抑うつdepression(や抑うつ気分dysphoria)と情動的苦痛/ネガティブ感情の関係は
多くの研究で指摘されているところであるが,
そのネガティブ感情は,なにも「悲しみ」に関連のあるものだけでなく,
「怒り」(やその認知的成分であるところの「敵意」)との関連もあることが知られている。
そのような時には,自動思考の内容も,より敵意的なものに(=他者非難的)なることが考えられる
(帰属スタイルに関する先行研究は存在する)。
この敵意的自動思考(「こいつは負け犬だ」「なんて間抜けな奴なんだ」などなど)は
1)抑うつ気分の高さ×特性怒りの高さ(交互作用的に)→敵意的自動思考の上昇
2)抑うつ気分の高低に関係なく,特性怒りの高さ(主効果的に)→敵意的自動思考の上昇
いずれかのしくみによって生じているものと考えられる。
これを,横断的質問紙調査によって検討した。
対象は,大学生88名!
BDI-IIと,MAI-AA(特性怒り→怒り経験頻度),HAT(敵意的自動思考の頻度)。
例によって相関と階層的重回帰分析。HATを従属変数とすると,
最初にMAI-AAを投入するとR-squaredは有意。
次にBDI-IIを投入するとΔR-squaredは有意でなく,
最後にMAI-AA×BDI-IIを投入すると,ΔR-squaredは有意(←仮説1)を支持)。
よくあるパターンの,Cohen & Cohen(1983)的手法で図示すると,
抑うつ気分が高いほど,特性怒りと敵意的認知の関係が強いことが示された。
*
シンプルな研究で結構。焦点が絞られ仮説が明瞭であるならば,
被調査者88名という,比較的少数なNでもいける,ということは参考にしたほうがいいでしょう。
*
なんだか論文の論旨の流れが他者非難的というか攻撃的な感じが少しあるんだけど...
*
近頃は,怒り系の(セルフコントロール系)認知行動療法本も
何冊か出版されてますね。そういうの絡みか。
*
次回が最終回です。レポート組も,次回が締切なのでそこんとこよろしく。
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