4つの用語の変更
Y新聞によりますと,精神神経学会で用語を改訂するのだそうです。
そこに挙げられているのは,
1) 社会不安障害 social anxiety disorder → 「社交不安障害」
2) 行為障害 conduct disorder → 「素行障害」
3) 人格障害 personality disorder → 「パーソナリティ障害」
4) 外傷後ストレス障害 PTSD → 「心的外傷後ストレス障害」
他にはあるのかな。
純粋な感想。
1) 「社会不安」そのものは,ふつうの日本語では全然違う意味に捉えられているからね。
変更賛成。
2) 行為障害だと,たしかに「失行症」や「前頭葉性 行為障害」的ニュアンスがあって,
「特定の行為を上手にできない」ことを指しているようにも感じられます。
で,素行か。
通常範囲での「素行不良」な人を「素行障害」ってラベリングするおそれはあるかな。
3) 「人格」と「性格」と「パーソナリティ」は含意が違うって教えてますから。
人格からの変更は賛成。
ただ英語をカタカナ表記しただけだけど。
4) え,もともとそうじゃなかったの?というのが正直な印象。「心的」を外していたなんてありえない。
むしろ逆に,traumatic brain injury(頭部外傷)を「心的トラウマによって脳にダメージ」??
みたいに考えてしまう心理の人もいる。
トラウマの本来的な意味は,ケガです。
だから,TBIの意味でのtraumaがもともとの意味であって,身体的な方が原義。
「心的」なのは後から出てきた話でしょう。
*
用語は難しいです。
*
それよりなにより,
またあれこれの出版物(出版社さん)が対応しなくてはならないんだろうなってことの方を,
やはりまずは考えてしまいますね。
統合失調症への変更のときのように。
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Commentaires
私も、「あれ?元々『心的外傷後…』じゃなかったっけ?」と思いました。
びっくりしました。
「素行障害」と聞いて、私も一瞬素行不良の方を頭に浮かべました。
「パーソナリティ障害」…納得はいきますが、なんか違和感ありますね。
用語って難しいですね。
Rédigé par: いちかわ | 31 mai 2008 14:34
まじめな学生さんですもんね(笑)
はじめに教わったときに「心的外傷後・・・」だったんでしょう。
ぜったいそう。
ところで Conduct Disorder は誰かに教わったり,
あるいは本か何かを読んでみたりしましたか?
Rédigé par: m0ch1 | 01 juin 2008 23:23
確か先生に「心的外傷後…」と教わったような気がします(笑)
多分。
Conduct Disorderは聞いたことないですね…
気になるので今度ゆっくり調べてみます。
Rédigé par: いちかわ | 01 juin 2008 23:34