「ふつうであること」はよいことなのか,そうなのか
研究会[院生]断片情報2008.6.3のひとかけら
ですが,
こんな論文が紹介されまして。
『「ふつうさ」の固有文化心理学的研究:人を形容する語としての「ふつう」の望ましさについて』
(pdfダウンロードできますね)
固有文化心理学って何?とか難しい話はおいておくとしても。
「ふつうの人」「ふつうではない人」「よい意味でふつうの人」
「悪い意味でふつうの人」「よい意味でふつうではない人」「悪い意味でふつうではない人」
をひとり想起させ,
その人物の印象の自由記述,対人魅力,性格特性語を用いた印象評定などが行われた。
どんな結果になったのかは,要約や本文をじっくり読んでもらえばいいと思います...
ふつうの人=「利他性」の高さ,というのは意外。なんとも意外。私には。
・(この研究では,誰かのふつうさ/ふつうでなさについて評しているわけだが)
「あなたふつうの人ね」って自分が面と向かって言われたら,
どっちかっていうとなんかイヤだな,とか。
そう思わない人もいたり,とか。
・「ふつう」観が評価者によってブレがあるだろうねえ。
・性格検査などによって,各因子/尺度得点のすべてが平均的になるような人が
数値的な意味では「ふつうの人」になるんだろうが,
特定のプロフィール形状を持つ人を「ふつうの人」と評するのか,
それってやっぱり(ことばの意味としては)「ふつう」じゃないよねとか。
・そもそも「ふつうの人」なんているんだろうか,とか。
(うちの研究室には「いない」ことになっているんだそうで;私も含まれているんだろう)
なかなか「ふつう談義」は盛り上がりますな。
あまりこの手の論文を目にしたことがなかったので,とても面白いと思いました。
内容的にも,方法的にも。
自由記述ありのこの手の研究で,
一貫して分散分析系の分析で押し通しているところに,
私としては最も「よい意味でのふつうでなさ」を感じました。
*
ちなみに,お近くの人々の中では誰がもっとも「ふつうの人」なのか,
発表者から個人名が挙げられてました,はい。
そういわれるとそうかなあとは思うけど,
利他性は高いのでしょうか?よく知らないけど。
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Commentaires
これ面白いですね。
ちなみに、「ふつうの人」を頑張って想起しようとしましたが難しかったです。
今度の月曜の実験が性格検査なので、こちらも楽しみにしています。
Rédigé par: いちかわ | 06 juin 2008 17:34
面白いよね。
「ふつうの人」はごくごく日常的なんだけど,
そういうことを,アカデミックに研究して面白い結果を得る
というのは,「ふつうの人」にはなかなか真似できません。
> 今度の月曜の実験が性格検査なので、
> こちらも楽しみにしています。
!?!?
そりゃもう楽しいですよ,実習中は。
実習中は。
そのときは。
レポートはすごーく大変なんだそうですが。
聞くところによると。
Rédigé par: m0ch1 | 06 juin 2008 18:04
「ふつう」って何なんでしょうね。
不思議ですね。
最近では,「ふつう」はただ単にバリエーションのひとつで,
そのバリエーションが多くの人に受け入れられやすいものっていうだけなのかなー。
とか考えてます。
そして,あの個性的な研究室の面々の中では,
私は色々な意味で「ふつう」かな,と自負しております。
Rédigé par: ふつうでありたい発表者 | 09 juin 2008 18:37
え~。
ふつう「でありたい」という
望みを表明する時点でアウトなのではないかと(笑)
Rédigé par: m0ch1 | 09 juin 2008 21:05