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11 juil. 2008

NP-JC/080711

夏休み中もがんばっています。研究熱心な彼ら(あ,私も)。

Sex differences in brain control of prosody

感情的プロソディ(喜び・悲しみ・怒り)や言語的プロソディ(平叙文・疑問文・命令文)の
理解について,右半球損傷患者(F群・TP群・BG群)の成績を比較検討。
→TP群=側頭頭頂損傷群で最も成績が低下している。(1)
 F群女性,BG群男性は成績が低下している。(2)
 F群は喜び,TP群は悲しみ,BG群は怒りの成績が低下している。(3)
※(1)課題がそういう課題であること,aprosodia(Rossの研究とか有名;最近のもあるらしい)
※(2)(3)そんなきれいに分かれるものなのかしら。
※なにゆえ性差を強調?というところは,言語的能力からではなく感情絡みの先行研究からの予測。


Impulsivity and risk-taking behavior in focal frontal lobe lesions

これ
衝動性とリスクテイキング(確率が低いが獲得金額は大きくなる;強化の遅延)と
前頭葉損傷。課題を工夫して("Tronto" Gambling Taskとでも命名すべきか)分離してみた。
→腹外側/眼窩前頭皮質損傷は,反応抑制の障害(=衝動性の亢進)というよりは,
 報酬に基づく意思決定機構の障害という方がよろし(=リスクをテイクする傾向)。
※衝動性質問紙(BIS-11)は損傷前後の変化をとりたくて損傷前・損傷後の状態を
 自己報告形式でとっているが,そのことの妥当性が我々の間では疑問視される。
  >>(発展して)質問紙で衝動性,というのは本当にありなんだろうか。
  >>やっぱ,こういうのは実験的課題で取らないとね,ということに。
※この研究が妥当だとすると,それでは衝動性はどのような課題で測定できるのか。
  >>CPT(Continuous Performance Test)とかGO/NO-GOとかってことになるんでしょう。
※去年さんざん考えたし,今年も考えていたりして...


Is the content of confabulation positive? An experimental study

これ
作話に関する実験的研究(形式上は半構造化面接)。
作話ありの人はそのまま,作話なしの人は話したことの一部を改変して(なんと)“作話にする”!
その内容を,条件にblindな評価者2名が,
Negative(self-diminishing)←→Positive(self-enhancing)7件法で評定。
→平均値を出して,評定値4.5未満をNon-Positive,4.5以上をPositiveとしてχ二乗検定したら,
 作話あり患者のPositive比率が多かった(なぜかふつうな棒グラフで表示)。
※実はその手順の前に,Negative・Neutral・Positiveの3つにわけている。
 にもかかわらず,Non-positive vs. Positiveにして分析するのは
 「恣意的」なんじゃないかというツッコミ。ごもっとも。
 ふつうに考えれば3×3の分割表でいくところ,2×3にしているようで。
※メカニズムの解釈。記憶の肯定的歪みは,
 通常,眼窩部によってある程度抑制/修正された形で出現する(健常者)。
 その部位の損傷によって抑制/修正が効かなくなり,
 肯定的歪みの程度が大きいまま現れる(作話患者)。
 

論文の読みがクリティカルになってきた。
研究デザインとか結果処理への意識の高さは,ご自分の研究の洗練に役立つことでしょう
(修論→"醜"論にならないようにね)。

 *

脳の「模型」を買って欲しいという要求が(こんなんか;お,お値段が...)。
 とりあえずペーパークラフトくらいにしてみましょうか。
 2次元→3次元のイメージ構成能力(みなさんの脳内で仮想的に)を鍛えることも必要かと。

 *

で来週も開催予定。
夏休みはバリバリとご研究欲求が増大するらしい。

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