NP-JC/080801
When left becomes right and vice versa: Mirrored vision after cerebral hypoxia
前回の続き。実験6と実験7。
左右反転してしまう現象の諸側面(反転しない条件は?)。
・ターゲット呈示→a)すぐターゲットが移動を開始,b)しばらくしてから移動開始,
に対するサッケード。
a)では反転は少ないこと,移動が始まると反転は消失する傾向,追従眼球運動は正常。
・フリッカーで呈示される刺激の画像の向き(「馬は右向きか左向きか」)の判断は正常。
50 or 100ms短期間呈示の後マスクをかけると,そのときは正しい判断。
・持続的に呈示される視覚刺激に対して,100ms~200msの間で,反転が生じるらしい。
※考察は苦しい。magnocellularとかparvocellularとかの解離という路線で展開しているが...
(そんなに詳しくないところなので,数冊の書籍で皆で確認もしてみた)
※hypoxiaで,損傷部位が広範にわたるために「責任病巣がどこ」みたいな話はしにくい。
※持続して呈示される視覚刺激に対して反転が生じるのなら,その代償方略としては
常に首振りするとか,眼球を左右に動かすとかいうことも,考えられなくはない
(細かい文字の読字などは無理かもしれないが)。自発的にはそういう代償方略はなされていない。
※逆転眼鏡の話はついぞ出なかったが,単眼プリズムでの反転(視覚補助)は効いた様子。
※逆転眼鏡をかけてしばらく(2週間とか)生活するという心理学実験があったとして,
いくらだったらバイトで経験するか,ということが話し合われる。
(こんな書籍があるようですね)
Orbitofrontal cortex mediates inhibition of return
両側眼窩前頭皮質に損傷のある33歳女性のケーススタディ。
「ルール反転課題」と視覚探索課題における眼球運動を計測。
・ルール反転→「エラー」(これまで正解であったルールが突然変更された)直後には,
眼窩以外の前頭前野損傷群(と健常対照群)では,"inhibition of return"的な
眼球運動の潜時増加・反応抑制が認められ,続く試行でそれが減少してくる,
という傾向があるが,この症例ではそれが全然みられない。
・視覚探索課題では,健常対照群に見られるようなシステマティックな探索眼球運動が
みられず,ランダムな動きであったが,結果からみると,エラー数も少なく,反応時間も短い。
※"inhibition of return"のふつうの意味での使われ方を確認。
今回のはreward-dependentな,ということになってるので。
※"somatic marker"と"WM"で検索してヒットした論文のひとつだったそうなのだが...
あまりsomatic markerがどうのこうのいう論文ではない様子。reward-processing系。
※somatic markerつながりで考えると,内臓感覚が...ということなので,それでは
内科系の患者さんではどうなんだろうという議論に話が展開する。
たとえば,「消化器系」患者群 vs. 「循環器系」患者群,とか。
神経心理の応用の方向性として,神経内科や精神神経科や脳神経外科や
リハビリテーション科だけじゃなく,一般内科領域に拡大できるか,ということ。
Confabulation: Motivated reality monitoring
作話シリーズ。
・作話あり健忘症患者群と作話なし健忘症患者群の対比。
インタビューで収集した,昔・最近経験したエピソードと,将来経験するかもねエピソードを,
テスト時には,すべて「最近経験したこと」に置き換えて呈示。それが正しいか否かを判断する。
インタビューとテストの間隔は,およそ2週間。
・作話あり患者群は,昔のことも将来のことも(特にポジティブ内容で)「最近経験した」と判断する
傾向がある(=false positive)一方で,作話なし患者群は「わからない」とする傾向が高かった。
・作話ありなし・過去将来にかかわらず,ポジティブな内容に関してはfalse positive反応が多い傾向。
・つまり,reality monitoringとかtemporal monitoringに加えて,情動的・動機的要因も絡む。
作話はすべて,過去に経験したことが混乱したまま取り出されるのではなくって,
希望・思考・幻想・可能性からも構成される。
※情動とか動機には,もちろん病前にも,その程度に個人差が存在するであろうから
作話が生じるか否かは,そういう病前性格のようなことも少しは関係するのかもしれない。
※ウソと「話が大きくなること」と作話の相違点は?
※作話(or 作話傾向)性差はあるんだろうか。
「あはれ」な男子学生・院生は女子学生・院生の気を引くために,話が大きく・面白おかしくなる
ような作話傾向があるのではないか,という,
女子院生2名による,経験によって導かれたらしい「仮説」。(←お相手が悪かっただけではないでしょうか。)
とはいえ,それは私の手持ちの未発表データ(ってうか昨日の大学説明会ではちょっと披露した)からも
実証的に統計学的に有意にそうだと示されていたりする...進化論的に有利だったりするのか。
※それを含めて,遂行機能障害傾向の性差について論じる。
そういうことを提唱している論文はほとんどないですけど(これなんかはそれに近いか)
他の考察の方向性としては,女性の方が「社会的望ましさ」の影響を強く受けて
「ワタクシはそんなことありませんことよ」と低めの回答をする,なども考えられる。
→"Marlowe-Crowne scale"も一緒にとるか。
※九州各県と群馬と沖縄で「フィールドワーク」(環境・経験による影響という意味で)の可能性。
※いっそのこと修論も,「健常大学生における作話傾向の神経心理学的研究」とかにしたら
などと提案してみる。アジテーション?
「 01. BRAIN 【脳】」カテゴリの記事
- 神経心理学演習12-10(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-9(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-6(2012.05.08)
- 神経心理学演習12-5(2012.05.08)
- 神経心理学演習12-08(2012.05.15)
「 03. ARTICLES 【篇】」カテゴリの記事
- 120724[mz1] Cogn. Ther. Res. 36-4(2012.07.24)
- 神経心理学演習12-10(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-9(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-6(2012.05.08)
- 神経心理学演習12-5(2012.05.08)
L'utilisation des commentaires est désactivée pour cette note.
Commentaires