神経心理学演習09-3
実質スタートの初回。
安永くん担当。
Letter position coding in attentional dyslexia
(注意性失読における文字位置のコーディング)
※ 追記しました(2009.4.18) ※
注意性失読に生じる"migration errors"という誤りがどのようなものかを,
2例の(頭頂葉に病変のある)注意性失読患者(GKとFL)に対する
語彙性判断(実在語か非語かを判断する)課題実験で検討。
migration errorsとは,複数の単語間で文字の位置が入れ替わってしまうエラーを指す。
( "sane land" → sand lane )
これはつまり,単語を構成するアルファベットに関する情報は正しく処理されるが,
その(単語内の)位置に関する情報が正しく処理されていないことが示唆される
(しかしながら,上の例のように,相対的な位置(単語末尾)は保たれていることがある)。
このようなエラーが,
音韻的なphonological要因によるのか,正字法的なorthographic要因によるのか(実験1),
単語内の文字の位置による相違はあるのか(実験2)検討された。
実験1では,4タイプの非語を設定して,その語彙性判断(&「実在語」判断なら,どう読むか)。
(1) radio→rdaio(2字入れ替え)
(2) radio→rbeio((1)+さらに似た文字に変換)
(3) radio→raideo(音韻的に同じように読める綴りで"pseudohomophones")
(4) radtio→raudno
どのタイプの非語を実在語と判断しやすいか,特に(1)と(3)の比較。
→(1)を実在語と判断する誤りが多くみられた
→→orthographicな要因による。
実験2では,5字からなる単語の,文字を入れ替えて語彙性判断。
(21) large → alrge
(32) large → lrage
(43) large → lagre
(54) large → lareg
→(21)は非語と正しく判断しやすい。一文字目には敏感らしい。
*
とっても「認知神経心理学」っぽい(でもわかりやすい)論文でした。
*
ま何よりも,一週間でちゃんと論文を選んで,読んで,レジュメを作って,人数分コピーして,
論文のエッセンスをきちんと伝えられるところが偉いです。
(だって自分が論文を読み始めたのは,大学3年の終わり頃からだったからな(笑))
安心した。
質疑も好調でした。わからないところはどんどん「その日の先生」に聞いたらよろし。
「日本語で注意性失読はあるのか?このエラーは?」という質問は特に印象的だった。
ひらがなやカタカナだけでかかれたようなものならあるかもね。
(「ボルト」→「ボトル」)
あるいは似たような形の漢字が並んでいたら読み間違えるようなことはあるかも。
(「間聞き違い」を「聞き間違い」と読み誤るなど;架空例です))。
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