神経心理学演習09-4
柳沼さん担当。
Progressive agraphia can be a harbinger of degenerative dementia
(進行性失書が変性性認知症の「前兆」のひとつかもしれない)
#"harbinger"はあまりみかけない単語ですが,前兆とか前触れとか。
※ 追記しました(2009.4.18) ※
「文字,とくに漢字を書くことの困難」が初発症状で★
(この時点では,読みには問題がない),
それが徐々に増悪するような場合があって(だから"progressive"☆),
これが変性性認知症の前駆症状のひとつであるかもしれない,という3例を対象とした
small-Nのケーススタディと,
このうちの1例とAD群の成績を比較したスタディのふたつのパート。
3例のケースの報告の仕方は,この研究業界のケーススタディの書き方をオーソドックスに。
書字サンプルが図に。
形がゆがんだり,筆の運びがぎこちなくなったりする。
進行性の変性性疾患ですから,どう変化してきたかも記載する。
AD群との比較は,
1) 漢字vsかな(漢字は小1で学習する漢字)書き取りと写字。
2) 漢字の画数と文字の意味の抽象性,および使用頻度(小学校の学習年でみる)の影響。
1) 漢字は書き取りも写字も,かなは写字で低下している。
2) 画数が増えると正答数低下,高学年で習う漢字で低下。
*
「頭の中の(漢字の)イメージを,右手に移すのが難しい」という内観。
とりわけCBD(症例2・3),PCA?(症例1)など,左上前頭-頭頂領域の変性と関連するかも。
*
★初発症状はさまざまあるが,この場合は書字であるので(primary) progressive agraphia。
他にもいろいろ報告がある。aphasia, apraxia, agnosia, alexia, acalculia...
初診時のメインな症状が初発症状とも限らないから,お話をよく聞かないといけません。
☆増悪の意味は,その症状そのものがより進行するという意味と,
他の症状が新たに加わってくるという意味と,両方を含んでいる。特に変性性疾患の場合は。
*
先学期の講義には出席されてなかったというのに...よく勉強されているんですね...すごい。
発表者の,人文の柳沼さんは書字障害にご関心があるようでした。
*
「サプライズな」研究(とりわけ,メンバーが)を今度するんだといううちあけ話をちらっとしました;
第一著者の先生のお名前が出てきたものですから。
*
私にとっても,今日の2本の論文は「ぶっつけ本番」でしたので,
(まあそれはそれで私も「試される」ので緊張感があっていいのですが;
それは来月再開する"NP-JC"ではそうなんだけど)
次週以降の演習では,あらかじめ何を読むかお伺いしておくことにしました。
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