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16 avr. 2009

090416[mz3]自分のことを見るように,近しい人を見る

090416[mz3]-1 self-complexity; self-concept; relationships
Seeing close others as we see ourselves:
One’s own self-complexity is reflected in perceptions of meaningful others

自己概念のあり方が,他者(近しい人)を見るときの仕方に影響を及ぼしているという話。

自分と,近しい人それぞれの「自分はこうなんだ(自己概念)」のコンテンツが似ているという
先行研究はあるが,それだけではなくって,
その自己概念のあり方・構造そのものも似ているかどうか,がリサーチクエスチョンになっている。
「構造そのもの」は,自己(概念)複雑性=self-complexityを用いている。


研究1では,“自己の”自己複雑性指標と,
参加者から見た“近しい人の”自己複雑性指標に有意な相関(r=.36)がみられること,
単なる認知複雑性(セカイをタンジュンにみるかフクザツにみるかの個人差)とは無相関であること
が示された。


研究2では,他者の自己への取り込み度(定訳不明)“inclusion of other in self(IOS)”の程度が,
この自己複雑性-(知覚される)「他者の」自己複雑性をどう評価するか,にどう関わっているか
が検討され,
取り込み度が高いほど,差が小さいことを確認。


研究3では,IOSを実験的に操作し,同様の結果が得られた。
(自己概念構造が似ているように感じられる人を近しい人にする,という因果関係よりも,
 近しくなるほど自己構造概念が似ているように知覚する,という因果関係が妥当である)


だれかとても仲の良い(とか愛しているとか)近しい人がいるときに,
  「僕らって,考えることが似ているよね」もあるけれど,
  「僕らって,考え方とか,<頭のコーゾー>も似ているよね」もあって,
そんな風に感じられることを,実証的に明らかにしてみたってことでしょうか。


近づけば近づくほど,その人を自分(の自己概念)に取り込むようになり,
究極的には
自分のことを見る/考えるように,その人を見る/考えるようになるってことです。

(論文末尾に書かれてますが,共感とかつながり感とか関係の質ってことにも
 関連しますよね)


 *


いろいろとパーソナルなあれこれを思い起こさせる,
なんというか,カッコイイ社会心理系論文ですな。

誰かに影響を及ぼしているだろうか,とか。
誰から影響を及ぼされているだろうか,とか。

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