神経心理学演習09-16
小池さん担当。
Repetition of distractor sets improves visual search performance in hemispatial neglect
(半側空間無視患者において,ディストラクターセットの反復は
視覚探索パフォーマンスを改善する)
半側空間無視患者において,特に左視野にターゲットがあることを検出するのに
時間がかかることは,まあそうなんだろうなと思われるが,しかし
健常者のfMRIなどで視覚探索課題中に賦活される脳部位と,
半側空間無視患者の典型的な損傷部位は異なるため,
このような患者でも,視覚探索は「可能である」。
このとき,ディストラクターの布置や色によるコンテキストを変えないで反復させると,
ターゲット検出時間が速くなるプライミング効果が生じる,
ということを示す論文。3つの実験からなる。
つまり,ディストラクターのグルーピングは無視の存在に関わらず生じており,
健常者と同程度にプライミング効果が認められ,
もしかしたらそのような効果は,半側空間無視の症状改善に役立っているかもしれない。
コンテキストのプライミング,というのがすんなりと頭に入って来にくい概念だな。
※「プライミング効果」自体は,他の授業で習ったようです...
けど,それを尋ねると「ピザピザピザ...ひざ!」「ブー。正解はひじ」
という話を何人かが言っていた。
※どっちかというと期待していた答えは,「医者」→「医者」とか,「医者」→「患者」とか
そういう方だった。
*
いちおう現在のところ心理学類では,
「神経心理学」は臨床心理学系の科目のひとつとして開講していますが,
当然ながら実験系心理学で出てくるようなコンセプトと仲良しであることを再確認。
いろんな授業を幅広く受講しておくことが吉,ということです;好き嫌いや食わず嫌いせずに。
全然ベツモノではありません。
*
授業の前に,担当者からのワイロとして
いぎなり!!うまい棒 牛タン塩味(東北限定)
を一本もらう。がしかし,ワイロとして機能したかどうかは不明。
(つーかそんな限定品だということを,今よく見て知った)
「 01. BRAIN 【脳】」カテゴリの記事
- 神経心理学演習12-10(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-9(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-6(2012.05.08)
- 神経心理学演習12-5(2012.05.08)
- 神経心理学演習12-08(2012.05.15)
「 04. NOTES-as-LECTURER 【講】」カテゴリの記事
- 心理学II(パーソナリティ)12-0(2012.07.25)
- フレセミ12_10(2012.06.21)
- フレセミ12_09(2012.06.14)
- フレセミ12_08(2012.06.07)
- 12特論XII/特講III-7(2012.06.01)
「 03. ARTICLES 【篇】」カテゴリの記事
- 120724[mz1] Cogn. Ther. Res. 36-4(2012.07.24)
- 神経心理学演習12-10(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-9(2012.05.22)
- 神経心理学演習12-6(2012.05.08)
- 神経心理学演習12-5(2012.05.08)
L'utilisation des commentaires est désactivée pour cette note.
Commentaires
コンテキストのプライミングという言い方はあまり聞いたことがありませんね。
こちらの分野では,コンテキストが探索の手がかりになっているという意味で,文脈手がかり効果(contetual cueing)と呼んでいます。
http://en.wikipedia.org/wiki/Contextual_cueing
名前はともかく,興味深い実験ですね。
勉強になりました。
私の認識では,神経心理学は実験系心理学です。
Rédigé par: 知覚系の大学院生 | 05 juin 2009 20:42
実験の内容を誤解していました。
文脈手がかり効果は,ディストラクタとターゲットのレイアウトが同一の探索画面を反復して提示すると,レイアウトの反復には気づかないにもかかわらず,新奇なレイアウトと比べて探索が早くなる現象です。
この実験では,same contextとdifferent contextで,レイアウトを固定してるので,文脈手がかり効果とはちょっと違いますね。
すみません。
Rédigé par: 知覚系の大学院生 | 06 juin 2009 00:25
情報を提供していただきありがとうございます。
そうなんですよ,実験の内容が少々混乱を招くというか。
少なくとも実験1&2は,気づくような状況での反復です。
"contextual priming"という用語は,ほんとに最後の
conclusionsのところで出てくるので,
たぶん著者らも控えめな言い回しですね。
神経心理学は実験系という点はもちろん同意ですが,
この研究を真に受ければ,
半側空間無視患者さんには積極的に視覚探索してもらう
と効果があるかもしれない,という
応用的というか,実用的というか,(臨床的)側面があると思いますし,
そういう知見が求められていると思っています。
Rédigé par: m0ch1 | 06 juin 2009 19:19