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19 juin 2009

神経心理学演習09-19

溝渕くん担当。

fMRI reveals altered auditory processing
in manifest and premanifest Huntington's disease

(ハンチントン病(manifest/premanifest)における聴覚処理の変容をfMRIで)

※追記しました(2009.6.18 20:21)※

ハンチントン病では「舞踏病」と呼ばれていたように不随意運動が多く研究されているけれど,
感覚情報処理にも障害があるかもしれない。この研究では聴覚処理に焦点を当てて,
1) 発症しているmanifest HD患者,発症前のpremanifest HD (pHD)★における脳活動を
  健常対照群と比較検討する。
  特に,pHDにおける代償的な(別の脳領域の)活動がみられるかどうか。
     ★:発症推定年齢に達するまでの短い群(cpHD)と長い群(fpHD)を設定。
2) 左右半球の非対称性(健常者では左半球優位)が変化するか。

そういうのをfMRI実験で。

→結果。
1) HD,pHDでは,健常対照群にくらべて,聴覚情報処理に関わる脳活動に違いがみられる。
  それは進行の程度によって変化してくる。
  cpHDではdown-regulated,fpHDではup-regulated。
  manifest HDではup-regulated...ややこしい。
2) cpHDではlateralizationははっきりせず,manifest HDでは右半球の活動が優位。

こまかい賦活部位の記載は省略。

 *

今学期はこれにて,神経心理学演習は終了。

他の領域の心理学論文にくらべて,
わけのわからない(特に,単語とか)論文が多かったと思いますが,
みなさんよくチャレンジしました。諸君は優秀でした。

でも,そういう「わからないこと」をわかるようにするために論文は書かれていて,
論文を読むということはその「わからないことの解明の試み」を著者らと共に辿るということですから,
こういう「よくわからない」論文を読むという試みこそが,本質的なんじゃないかと思うわけです。

演習で読んだ17本の論文のうち,私のアンテナにひっかかりそうなのは2~3本であり,
ふだんでしたら読まないような論文が多かった;皆がなぜその論文を選んだのか気になるほどに。

そういう意味では私にとってもほとんどの場合「よくわからない」ところがある,
だからこそ本当に演習的な時間でした。
おつきあいできてよかったです。

また来年度。
受講生がいればの話ですが。

 *

業務連絡。
今日欠席で,単位認定の方法を知りたい方はご連絡ください。


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