研究室研究会(院生)091126の正体
十分に「先延ばし」をしてしまったのでこちらを別エントリで。
● 「先延ばし」に焦点を当てて
・なかなかよくまとまったレジュメを作られた。これまでの研究を概観した後に
「新たな観点」を導入した研究として,以下を詳しめに紹介。
A) 林(2009) 『先延ばし後の思考内容と感情の関連-先延ばし傾向に着目して』
→ 自動思考媒介仮説。その仮説を検証するために,
「先延ばし後の否定的自動思考に特化した尺度」作成:
“自己行為批判”と“達成困難”の2因子。
→ たしかに媒介はしているようだ。
内容特異性仮説のほうは,“達成困難”因子では支持。“自己行為批判”は微妙。
B) 小浜・松井(2007) 『先延ばし過程における意識の変化の探索的検討』
→ プロセスとしてとらえよう。先延ばし前→先延ばし中→先延ばし後。
自由記述をカテゴリスコア化して数量化III類。
→ タイプというか,パターンは4つ見いだされる。
1)息抜きのための,2)感情葛藤を伴う,3)外的理由による,4)意図的
・で,発表者の「お考え」を述べられる。
「先延ばし」がなぜ生じるか,特性的に考えない場合の研究があまりない。
だからBのような研究が必要。しかも,特に「先延ばし前」の先延ばしを引き起こす要因を。
・「おまけ」として,回避的自己制御方略についてもあれこれ。
先延ばしも回避的自己制御?
C) 村山・及川(2005) 『回避的な自己制御方略は本当に非適応的なのか』
→ “目標・意図レベルでの回避”,“行動レベルでの回避”という概念で,
①前者を行っていないが後者を行っている
②前者も後者も行っている ときどうなるか。
※「不登校」という状態で考えてみる。
※③前者を行っているが,後者を行っていない,の例はあるか;
修論テーマを決め(られ)ないが,手当たりしだい論文を読む,とかさ。
※みなでディスカッションした流れとしては,やっぱ実験だよなこれ。
※卒論のときは,二者択一状況だったけど,
ひとつのことについて To do or not to do. ☆シチュエーションもありかと。
☆ これを go/no-go 課題のように見えてしまうのは,専門性のゆえか。
● 顕在的/潜在的自尊心×現実自己/理想自己/義務自己と,自我理想型/超自我型...
・発表者の頭の中にあるお考えを「実証的心理学用語」で置き換えて,かつ,
実施可能な研究として方法に落とし込もうとすると,こうなりますの話。
・詳しく紹介していただいたのは以下の文献。自我理想型と超自我型。
D) 『青年の自我理想型人格と超自我型人格の精神的健康 :
志向性とべきの専制の様相の観点から』
→自我理想型/超自我型(“志向性”と“べきの専制”2因子)(と違和感尺度)のこと。
定量的な研究1のところだけ(※だけに関心があるのは私だけか)。
※この尺度で考えるときに,義務自己はわかりやすいのだが,
理想自己は?何か別のことがからんでいるのだろうか;
「全能感」とか「自己誇大感」とか→自己愛とか,躁とかに絡んでくる?
・さてそれで。現実自己/理想自己/義務自己というのは
それぞれ顕在的なものと潜在的なものがあるんだろうか...という議論。
※潜在的な現実自己なるものの存在をどう捉えるかで議論が分かれてくる。
・Higginsの自己不一致理論の見方に,「基準」という考え方を導入するとどうなるか。
※上方比較的にズレをとらえるか,下方比較的にとらえるか。
イメージの話だけど,しかし受ける印象が変わってくるよね。
・で,上の2点を総合的に考慮すると...
※3次元的な構造のなかでのベクトルの問題ということになるわけだ
(※これは私自身の,その場では言っていないイメージなんだが)
※また,絵でも描いてみましょうか。
★ エゴグラムまでは(今は)発展させすぎ。
分離欲求とか安全基地の内在化とか基本的信頼感は...あちらの世界に行きすぎ。
※そこまでは行かないように立ち止まってもらう。
● A0ポスター印刷前の再確認
・先週の議論をふまえて,修正されたものを皆で確認。
分散分析交互作用が折れ線グラフになった。 * の付け方でさらなるご指導が。
・その後夜に再修正して印刷したもよう。
明日日曜日が本番。もう金曜日にご実家に向けて出発されてます。
● 12月になることだし...卒論生の卒論の「文書的」面倒み,よろしくお願いします。
ここで思いっきり先輩風を吹かしてください。
(特に昨年「読んでもらった」側の諸君は,ですな。決して仕返し的にではなく)
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Commentaires
その後に,「宿題」もわたされた。
(考えるのを)先延ばししたいところだが
そうも言っていられないところが難点。
これも本文中のC③になるのかどうか。
Rédigé par: m0ch1 | 28 nov. 2009 17:41