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14 mai 2010

神経心理学演習10-7

水尻さん担当。

AD,短期記憶,意味記憶。

Impaired semantic knowledge underlies
the reduced verbal short-term storage capacity in Alzheimer's disease

(アルツハイマー病における言語性短期記憶低下には意味知識の障害が関与している)

ADにおいて言語性短期記憶の低下における意味知識の影響を,
「心像性」効果を手がかりに検討した。

高心像語 vs. 低心像語。
AD vs. 健常高齢者 vs. 健常若年者。
単語リスト(2語~7語)即時再生課題の成績(スパンレベル,単語正答数)および誤反応分析。
および同義語判断課題。キー押しの反応時間と正答数。

→(結果の概略;AD群・低心像語で)
・リストスパンの低下が顕著。正答数も低い。
・誤反応は,音韻性の誤りが多い★。
・同義語判断課題でも,正答数低下。RT長い。


ってことで,


短期記憶→長期記憶,という方向だけじゃなくって,
短期記憶←長期記憶というアシストみたいなものが存在し,
それは(今回刺激が単語だったから)意味記憶の役割だ,ということになる☆。

★「音韻性の誤り」が多くなる理由として,以下のような例を挙げてみた:
 よくその言語を知らない国に行く。
 誰かが話しかけてくる(でも,意味はさっぱりわからない)。
 聴覚的には音声が入ってくるので,それをよく聞いていればある程度は復唱できる
 (=いったん短期記憶には情報は入ってくる)
 が,100%正確にではなく,どこかの音韻がゆがんだりする可能性は高い。

☆もしその言語を知っていれば,なんという意味の言葉なのかわかれば,
 仮に入力時の情報が雑であっても,意味のサポートを受けて
 正確に喋ることができるだろう。
 (この現象がないなら,心像性の高低によって成績に差が生じなくても不思議はない)


 *


これまでSTMの障害は,入力や維持の問題と考えられてきたがそうではなさそう,
ということ。


 *


「意味記憶の障害」で音韻性の誤りが増える,というのは一見パラドキシカルだけど。

「リハーサル」っていうけど,「→」と「←」は分けて考えた方がいいのかも。
ぐるぐるじゃなくって。

mildAD対象ということで,これが(たとえばmoderateに)進行したらどう変化するんだろう。

古典的なスタイルだけど論旨すっきりしていて良い論文。

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