神経心理学演習10-14
岡戸くん担当。
側頭葉てんかん,"accelerated long-term forgetting"。
(長期記憶が永遠を意味しなくなるとき:側頭葉てんかん患者におけるALFの分析)
30分後の再生では健常対象群なみの成績であるのに,
その後急速に再生成績が低下する,
側頭葉てんかん-健忘患者RYのケーススタディ。
(実験1)診断・治療前=anticonvulsant medicationの前。
ストーリーのペアを学習する。
ストーリー1&2は,繰り返し再生・再認する
(その時期は30分後,その他以下の時期にあわせて4回)
ストーリー3&4は,一度だけ再生・再認(1日後)
ストーリー5&6は,一度だけ再生・再認(1週後)
ストーリー7&8は,一度だけ再生・再認(2週後)
ストーリー9&10は,一度だけ再生・再認(4週後)
→繰り返しのない再生は,30分後は良好だが,1日後に急速に成績低下。
さらに1週後にはほとんど低下。4週後にはすっかり忘れる。
→選択肢を提示しての再認は,4週後にはチャンスレベル以下にまで低下。
(1日後も有意に低下したが,アーチャファクトか)
(実験2)診断・治療後=anticonvulsant medicationの開始6週後。
発作はこの間みられなかった。
同様の手続きで。
→再生成績はなんらの改善もみられない。
(※発作とALFの直接的因果関係はないということ)
→再認は,(4週後も比較的保たれ)改善効果が少々あり。
*
(1) 繰り返しの再生は,忘却を防止する効果がある。
(2) 急速忘却は24時間以内に始まる。
(3) 抗けいれん薬がALFを改善する効果は"negligible"。
*
・ 記憶の研究は,手続きがこみいっていて難しいのお。
・ 対象となった患者RYの経験する,"turns"と呼んでいる現象についてなんなんだろうね議論。
デジャビュ的で"dreamlike"であるらしいが,急速に意識のモードが変容するらしい。
・ ストーリーの例がひとつも掲載されていなくて残念。発表者が著者に問い合わせる??
・ 「なぜケーススタディなのか」についてディスカッション;
WMS-IIIやRey Ostereith FigureやWRMTといったスタンダードな記憶検査は「正常範囲」
(AMIだけabnormal)で,しかしALFを訴える,という患者に遭遇する確率はいかほどと
考えるか→ケーススタディしかできない状況,なのかもしれない。
・ カミカミでした?そうでもない。文章が高級すぎたからかみやすかったのではないか。
睡眠不足気味だったのかしら---授業のチャイムが鳴っても起床しなかったしね笑
・ 直接ご自分の研究には関係ないかもしれないけど,
「センター」に週1通っている院生の貴女へ。どーぞ(背景予備知識として)。
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