« 神経心理学演習10-15 | Accueil | 大変実践的に実戦してます! »

11 juin 2010

神経心理学演習10-16

上條さん担当。

早期失明者,嗅覚弁別と同定。
がsupra-normal。

Odour discrimination and identification are improved in early blindness

(早期失明者の嗅覚弁別・同定の向上)


ほぼ全訳スタイルのかっちりしたレジュメでした

聴覚や触覚の能力が向上する,という先行研究は多く存在するが,
嗅覚の研究は'minor'なのでやってみた,という研究。

弁別は,継時的に呈示される嗅覚刺激の異同弁別課題。
同定は,自由に同定(名称を自由に答える)・カテゴライズ・多肢選択。

正答数に加えて,反応時間をも測定。

→正答数において,早期失明者群は晴眼対照群に比べて
 全般的に成績が良好(=supra-normal)。多肢選択を除いて。
 反応時間では有意差なし。


おそらく,匂いの近くから意味へのアクセスが強化されていて,
それは経験によって学習されるものであろう。
(本研究では,cross-modalとか脳活動的な側面の検討はない,behavioral dataなので,
 脳内メカニズム的側面は「今後の課題」)


 *


30種類の匂い刺激呈示されたようだが(Table 2にリストがある),
「26. Sea」の匂いってどんなん?
「15. Lilly of the valley」は?lillyって答えたら正解なの不正解なの?
などが謎。

また,ほとんどが「良い匂い」的であるようだが,
「イヤな匂い」であったら
晴眼対象者ももう少し成績が良いのでは,という疑問。


Fig. 1 とFig. 2 が,珍しい「箱ヒゲ」グラフになっていた。


 *


この研究をあえて敷衍すると
視力がよろしくない晴眼者も,同様に,視力のよい晴眼者よりも
嗅覚的能力が向上している可能性があることになるのでは?と振ってみたら,
コンタクトやメガネをするからダメだよね~と。

そこでついでに,
先日の職員健康診断で私の視力が両眼とも1.0以上だったので,
別にメガネなくても見えてるんだよと教えてさし上げたら,
ものすっごくびっくりされた。
...みな,メガネ・コンタクトレンズ着用者らしい。

|

« 神経心理学演習10-15 | Accueil | 大変実践的に実戦してます! »

01. BRAIN 【脳】」カテゴリの記事

04. NOTES-as-LECTURER 【講】」カテゴリの記事

03. ARTICLES 【篇】」カテゴリの記事

Commentaires

>「15. Lilly of the valley」は?lillyって答えたら正解なの不正解なの?

Lilly of the valleyは「スズラン」で、lillyは「ゆり」みたいですよ。
スズランとゆりの匂いが同じか違うかは知らないのですけど・・。

聴覚や触覚はどちらも、視覚の代償として機能が向上しているのだという印象があったので、嗅覚も優れてるとは面白い結果ですね。

聴覚は空間的認知に、触覚は形態認知に役立ってそうですが、嗅覚はどうなんでしょうか。
視覚が無い分、普段から匂いにより注意を向けているのかもしれないですね。

Rédigé par: kob@tokyo | 11 juin 2010 23:00

ああそうなんだね...ほんとだ。

『谷間のゆり』(バルザック←読んだことないけど)がすぐ頭に浮かんだので。
すずらんのことなんだ。

嗅覚は,煙のにおいを察知するとか,食べ物が腐っていないかなど
危険を知らせる信号として大事かなと思います。
(それで,この研究でイヤな匂いが少ないのはどーなんだろ,と思った次第です)

Rédigé par: m0ch1 | 13 juin 2010 07:05

L'utilisation des commentaires est désactivée pour cette note.

TrackBack


Voici les sites qui parlent de: 神経心理学演習10-16:

« 神経心理学演習10-15 | Accueil | 大変実践的に実戦してます! »