« オープンキャンパス(入試の説明会と研究室見学) | Accueil | 神経心理学演習10-18 »

18 juin 2010

神経心理学演習10-17

明石さん担当。

本日の「ビジュアル系」その1。

相貌失認。inversion effect。

Paradoxical configuration effects for faces and objects in prosopagnosia

(相貌失認における,顔と物体に対するパラドキシカルな配置効果)

相貌(顔)認知処理が特異的であり,相貌失認とはそのモジュールの障害である,
という見解があり,その根拠として健常者を対象とした認知心理学的研究から明らかにされている
1) inversion effect
2) face context effect
などがある。

その一方で,顔認知と物体認知の処理過程は同一であり,
顔認知では「よく似たものを見分ける機能」が大きく必要とされる点が異なる
という見解もある。そうであるならば適切な物体・適切な課題条件では,
顔のみではなく物体でも inversion effect が生じても不思議はない。

また,これまでの相貌失認患者を対象とした先行研究においては,
正立顔(ようするにふつうの状態)と倒立顔(上下さかさま)のマッチング課題において,
健常群ではその成績が 正立顔 > 倒立顔 (ふつうの inversion effect)なのに,
相貌失認患者では    正立顔  倒立顔 (paradoxical inversion effect)が
報告されている。

以上のような点を,物体画像を用いて検討する。具体的には,
実験1:(全体的)顔の正立・倒立画像以外に,靴の正立・倒立画像のマッチング。
実験2:(部分的)顔に含まれているパーツ,家屋に含まれているパーツのマッチング。

で,顔のみならず,物体においても paradoxical inversion effect が生じるかどうか。


 *


症例はLH。46歳男性。(※いくつかの先行研究でも既出)

実験1:顔正立・靴正立画像の同時的および継時的マッチングいずれもチャンスレベル。
     顔倒立画像でparadoxical inversion effect が生じ,かつ,靴倒立画像でも生じた。
    (たぶん部分的マッチングをしているのだろう;でも正答率は健常者にくらべてやや劣る
     →もしかすると,全体処理は単に機能低下しているのではなく,
       正常な部分的処理を干渉している,のかもしれない)

実験2:顔パーツも家パーツも,倒立画像の方が成績が良い paradoxical inversion effect が
    生じていた。(実験1のときよりも,正答率上昇)


→→そんなわけで,inversion effectは顔のみに生じるのでもなく,
相貌失認患者の paradoxical inversion effect も,顔のみでなく物体にも生じる。

ってことは,これらのeffectsは特段,顔モジュールの存在を示す手がかりとはいえない。


 *


・10年前の(2000年)論文で,かつシングルケースを対象にした実験なので,
 なんか懐かしい~雰囲気が漂っていた。

・論文のフォーマットからして違う。字が少し大きい。行間がゆったり。

・あれこれ黒板に書きながら/描きながら説明する姿勢はよろしい。

・「先生の先学期の授業で...」と講義の方の話を振り返ってくれて,なおけっこう。

・それにしても,やや半端に理論ベーストな研究で,もう少し詳しく論文中であれこれを
 解説したりしてくれていてもいいのにな..というのが正直な感想。

・Appendixにあるexample写真の顔は...著者かもしれない。
 ちょっとヘンな顔,とか思っちゃったんだけど。

・結果はTableオンリーで,Fig.がない!

・日常生活で「顔が覚えられない」「あの人の名前が出てこない」という現象が
 生じたりするけど,それと相貌失認のメカニズムの相違点とか類似点とか
 ディスカッションする。
 

 *


・最初,発表者がおられませんで...流会かと思いましたぜ(あ,授業だったからそれはないか)

・蒸し暑かった。冷房はまだ入りません!

|

« オープンキャンパス(入試の説明会と研究室見学) | Accueil | 神経心理学演習10-18 »

01. BRAIN 【脳】」カテゴリの記事

03. ARTICLES 【篇】」カテゴリの記事

04. NOTES-as-LECTURER 【講】」カテゴリの記事

Commentaires

Poster un commentaire



(Ne sera pas visible avec le commentaire.)


Les commentaires sont modérés. Ils n'apparaitront pas sur ce weblog tant que l'auteur ne les aura pas approuvés.



TrackBack

URL TrackBack de cette note:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/27740/48661784

Voici les sites qui parlent de 神経心理学演習10-17:

« オープンキャンパス(入試の説明会と研究室見学) | Accueil | 神経心理学演習10-18 »