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15 juil. 2010

NPJC100715

視点を切り替えるコスト(switching cost)の話。

7月18日&19日追記。

Real world referencing and schizophrenia:
Are we experiencing the same reality?


こちらの頭の切り替えが必要な難しい論文でした。

 *

(07.18追記)

視点取得の問題を,視空間参照枠(visuo-spatial referencing)の点で
しっかり検討しましょうということ。
egocentrism(世界を自分の視点から見る能力)と
allocentrism(世界を自分以外の視点から見る能力)。
 ※これまで精神科疾患では検討されていないという。

この論文では,
allocentrismを object-centric と landmark-centric という点でも分けており,
これらの視点がパフォーマンスに与える影響を検討する。。
提示される画面には,ランドマーク(palace)と,赤いボールおよび青と緑のゴミ箱がある。
 EGO: 「自分に近いゴミ箱はどちらか」
 BALL: 「ボールに近いゴミ箱はどちらか」
 PALACE: 「パレスと近いゴミ箱はどちらか」
と問うことで,視点の違いによるパフォーマンス(反応時間,誤答率)を測定する。

もうひとつ。
「視点の切り替え」の問題も扱う。
ひとつのセット(たとえばEGO)は,6画面からなり,連続で同一の課題を行う。
次のセットでは,
この課題と同一のセット(EGO)が続いたり,
これとは異なるセット(BALL=OBJECT/PALACE)になったりする。
後者の場合には,視点の切り替えが必要となり,それに伴って
次のセットの特に1試行目では,RTが遅くなり,また誤反応が増加することがある★
 ★これをスイッチングコストという。
Allo(OBJECT/PALACE)→Egoもあるし(アロエゴスイッチ)
Ego→Allo(OBJECT/PALACE)もある(エゴアロスイッチ)。

48セット(1条件16セット×3)。

安定期統合失調症(SZ)患者群24名 vs. 健常統制(C)群25名。



全体的に,
SZ群は主効果的にRTは遅い
 & 交互作用的に,EGO条件では群間差はなく,OBJECT/LANDMARKで差あり。
誤答率は全条件でSZ群に多い。

set×group ANOVA を課題条件ごとに行うと(課題を繰り返すとRTが短くなるか検討),
OBJECT条件では,SZ群ではRTが短くならない。
(EGO条件,LANDMARK条件ではset数に応じてRTが短くなる)
 ※ 論文主旨的には,EGO条件のみで短くなる方向に考察。


スイッチコストについて。
●Allo→Ego
 RTについて,SZ群はLANDMARK→EGOでスイッチコストが高い(1画面目)
 誤反応率については,2画面目に群間差
 OBJECT→EGOでは群の主効果も交互作用も有意でない。

●Ego→Allo
 RTについて,SZ群はEGO→LANDMARKでスイッチコストがい☆(1画面目)
 EGO→OBJECTでは群の主効果も交互作用も有意でない。

 ※SZ群では,EGO←→LANDMARK間のスイッチに手間取る。非対称性がある。
 ※少々お話しがやっかいなのはここ。
   L→EスイッチはSZ群でRTが長く,切り替えないE→Eは群間差なし。
   E→Lスイッチでは群間差がなく,切り替えないL→LではSZ群においてRTが長い。
   そのため,☆スイッチコストは「低く」見えることになる。
   総合的には,LANDMARK条件でのパフォーマンスはSZ群で不良ということになる。


→→


統合失調症患者で,egocentric perspectives は保たれているが,
allocentricのは障害されている。
特に,安定的なLANDMARK視点,そこへの切り替えが苦手。
そのような視点および切り替えの不得意さは,
社会的認知やsimulationやmentalizingなどの,
社会機能の低下の一因となっているかもしれない。


 *


パレスが「安定的な」建物,
ボールとふたつのゴミ箱が「不安定な」建物で,それらで結果が異なる点は興味深い。
(fMRIでactivateする脳部位も異なるという先行研究がある。)

統合失調症以外の精神病理ではどうなのかも気になりますね。


 *

(07.19追記)
擬人的に,「三角関係」で考えると何がどう困難なのか少し見えてきた気がする。
詳細は省略!

Are we experiencing the same reality?

の答えはもちろん,

No, we aren't.

だなこりゃ。

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Commentaires

ようやく追記した。

ふぅ。

Rédigé par: m0ch1 | le 18 juil. 2010 à 22:19

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