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09 nov. 2010

101109[bx1]あの人の筆跡を見てもそこからあの人らしさを感じられなくなる

フォントや手書き文字の知覚の神経心理学的研究。

単語・文字を読むこととの対比。

101109[bx1]-1 word; reading; prosopgnosia; alexia; type-face
Reading words, seeing style:
The neuropsychology of word, font and handwriting perception


なるほどねえ。


単語や文字の同定とは別の側面,
コンピュータのフォント(の違い)や,
いろんな人の手書き文字の筆跡を判別する能力に関して。

4例で検討されている。

右のfusiform face area(FFA)と右のvisual word form area(VWFA)に
損傷のある相貌失認の2例では,
単語は分類(sort)はできるがフォント・手書きの分類に成績の低下を示し,

これらFFA/VWFA領域の保たれた,別の右内側後頭側頭葉損傷の相貌失認患者1例は
両課題とも成績低下は認められず,

左のfusiform紡錘状回損傷の失読患者1例は
単語の分類で成績低下がみられるが,フォント・手書きの分類では低下しない。


つまり,
人物の顔に対してではなく文字に対しての prosopagnosic な症状というべき
ものが存在するらしい。


 *


あの人の顔を見てもあの人だとわからなくなるうえに,もらった手紙などに記された
あの人の筆跡を見てもそこからあの人らしさを感じられなくなるというわけだ。

それはとてもせつないことだなあ。


(相貌失認には「声をきけばあの人だとわかる」というのが定義的に含まれてるが,
 それはなんとも,救いのあることだなあ。)

などと思ったりした。

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Commentaires

この症状,まだ論文にはなっていないのだけど,以前の職場でS先生と一緒にやりました.
fMRIでも,顔に反応するFFAと同じ場所が筆跡でも活動するんです.
FFAは顔に特異的なのか,あるいは特異的ではないのか,この議論に対して重要な示唆を与えているのだと思います.

Rédigé par: moon | 09 nov. 2010 08:25

へえ。患者さんで?fMRIで?それとも両方?
non-face object categoriesでどうかという論点が昔からあるけれど,
筆跡って「その人らしさ」っていう側面を含むのでまた別の次元が絡みそうだなーと
(フォントの方は,違うけど)
なかなか興味深い。


著者らはfMRIでも実験してるみたいですな。
http://www.mitpressjournals.org/doi/abs/10.1162/jocn.2009.21286
で,筆跡とVWFAのことのようでして。
となると,今回の検討は,
FFA の話?それとも right VWFA homologue の話?

という論点もあるのでしょうか。

Rédigé par: mochi | 09 nov. 2010 12:29

僕らの方はfMRIの健常者への実験です.
僕自身の仕事ではないので詳細を語るのは避けますが,
FFAの話です.
顔に反応する活動が,同じように筆跡にも反応してみられるということです.
実際に調べてみると,Prosopagnosiaと筆跡の判断の障害は,
結構合併していることがあるらしいですね.

Rédigé par: moon | 10 nov. 2010 08:30

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