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10 mai 2011

神経心理学演習11-06

山口君担当。

Superior voice recognition in a patient with acquired prosopagnosia and object agnosia

(※追記しました)

(相貌失認・物体失認合併患者における,すぐれた声認識)

ケーススタディ(症例SB)。

(獲得性の)相貌失認患者は,「声を聴いてその人が誰なのかわかる」とよく言われるが,
それは視覚モダリティの低下を代償する形で,聴覚モダリティがすぐれるようになるということかもしれない。
(しかし,発達性相貌失認症例では,声による人物同定能力も低下している,という先行研究もある)

また,
日常生活ではふつうそうであるように,
視覚(顔)と聴覚(声)が同時に呈示されるとどうなるか,という問題もある。

このあたりを実験的に検討する(実験1)。

加えて,顔以外の刺激として(ここがなかなか面白いが)
車とクラクション(horn)で同様に実験的に検討し(実験2),

そのような聴覚の効果が,顔刺激だけにみられるのか(車刺激だけにみられるのか),
あるいは刺激の属性に関係なくみられるのかという点も検討された。


実験はいずれも,画像刺激と音声刺激をペアで呈示し学習し,
その後再認テストとなるが,
1) unimodal-visual: 呈示される視覚刺激は先の学習時にあったかどうか
2) unimoda-auditory: 呈示される聴覚刺激は先の学習時にあったかどうか
3) bimodal: 視覚刺激+聴覚刺激 そのペアは先の学習時にあったかどうか
  (学習時のペア通り;
   既知視覚刺激+新奇聴覚刺激;
   新奇視覚刺激+既知聴覚刺激;
   新奇視覚刺激+新奇聴覚刺激 の4パターンある)

実験1は,顔+声
実験2は,車+クラクション。

結果は... d' (ディープライム)で評価する。信号検出理論★
実験1では,SBは対照群にくらべ,
unimodal-visualで低下,unimodal-auditoryで向上,bimodalで有意差なし
実験2では,
unimodal-visualで低下,unimodal-auditoryで有意差なし,bimodalで低下。

d'の差分をとると,対照群は視覚に,SBは聴覚に依存するような効果があることが示された。

また,SBの d' は,声でもクラクションでも同程度に高かったが,
対照群の d' は,声とクラクションの間に有意差があり,声で低めであった。


 *


実験的に,相貌失認患者の「声認識」のenhancementが確かめられた。


 *


★「緊急地震速報」と「地震」で説明を試みた...
 信号検出理論をどこかで習ったか尋ねたら
 「心理学方法論」でならったと答える人と,わからないと答える人が...
 ...てことは,扱われているということですよね。
 あの授業は,実は大事だったんだよ(笑)

☆レジュメの最後,「疑問・意見・感想」が面白かった。
 特に,視覚+聴覚のinteraction以外で調べられるかどうか。
 ありなのは,嗅覚かしら。
 視覚+嗅覚(あの人の顔と匂い) 
  または
 聴覚+嗅覚(あの人の声と匂い)。
 味覚と触覚はねぇ...

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