神経心理学演習11-07
(ワーキングメモリと注意セットの違うところ)
本日は二コマとも,健常者対象の研究。
Fig.1. を言葉で説明するのはだいぶややっこしいのですが,
A. 記憶すべき属性(色)→視覚探索課題→記憶テスト
(First Search Then Remember condition)
B. 記憶すべき属性(色)→記憶テスト→視覚探索課題
(First Remember Then Search condition)
※視覚探索課題において,ディストラクターとして
ワーキングメモリにある記憶している色(related)/別の色(unrelated)が呈示され,
色による妨害なし(none)の条件におけるRTをベースラインとして,そこからどのくらい
各ディストラクターによってRTが遅延するかを"distractor costs"として算出する。
の課題条件ならびにディストラクタータイプがあり,
また,
条件をそれぞれブロックで呈示するタイプ(Blocked)とミックスして呈示するタイプ(Mixed)がある。
・・・
A. のタイプにおいては視覚探索課題中にWMの負荷がかかりつつ注意セットの効果もみられ,
B. のタイプにおいては(既に記憶課題は終了しているので)視覚探索課題ではWMの効果はなく,
注意セットの効果が(あるならば)残るだろう
という側面と
ブロック呈示よりもミックス呈示で,注意セットによる記憶関連ディストラクター効果が大きいだろう
という側面がある
(らしい;あってるかしら)。
結果
Aの課題条件においては,
ディストラクターの主効果が有意(relatedでコスト大)
ブロックのタイプ×ディストラクターの交互作用が有意
(Mixedにおいて,unrelated-related間のコスト差がより大きい)
Bの課題条件においては,主効果・交互作用はいずれも有意ではなかった。
考察
(実はあまりすっきりとはよくわかりません...けど)違いがあることはわかりました。
*
・わからないことが多いとそれなりにディスカッションが盛り上がるの法則。
かといって2日前に読み始めるのはちょっとなあー
善き「前例」にはしないでちょうだい。
・「全然神経心理学っぽくなくて,認知心理学的じゃん!」という感想。
→そのとおり。誰か次の4・5限の「認知心理学演習」などで解決してくれ(笑)
→考察の最後にちょっとだけ,前頭前野との関わりについての先行研究などが
あげられている; これ ... そうです,それで俄然 Neuropsychologia らしさが出てくる
・B課題条件-Mixed-Relatedだとコストが下がるという現象(See Fig. 2. 下)を
元カレとの記憶ときれいさっぱりお別れしておくと,
後の探索課題でそこにいたときに(むしろそちらは「見ない」がゆえに)邪魔されにくい
特に,"Mixedな"状況において。
みたいなことを申し上げて説明したら,意外にウケたのでした。
おや,みなこの高尚なアナロジーを咀嚼理解する能力があったか!
どうやら体験的に(も?)腑に落ちるところがあったらしい。
感情はどうなのと聞かれましたが,
「そんなの関係ない,ビジュアルにそこにいてディストラクターになっていることだけで十分」。
冗談ではなく心理学的にもう少し正確なことを言うと,
inhibition of return(「復帰抑制」)という現象と関連がありそうです。これ。
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