神経心理学演習11-13
(フレーミング効果の行動力学・神経基盤)
同じ意味の選択肢を異なる表現で示すことで,ヒトの危険選好性を反転させる効果。
ある伝染病に600人が感染し,放置すれば全員死亡する。
だがしかし対策案として以下の2案がある。
・ポジティブ条件
A:200人が助かる。(sure)
B:3分の1の確率で全員が助かり,3分の2の確率で全員が死亡する。(gamble)
・ネガティブ条件
A:400人が死亡する。(sure)
B:3分の1の確率で全員が助かり,3分の2の確率で全員が死亡する。(gamble)
それぞれの条件でABいずれの選択肢をとるか尋ねると,
ポジティブ条件ではA(72%),ネガティブ条件ではB(78%)と反転する。
ここにその集団のサイズを考慮し,
さらに著者のひとりのWangの唱える "ambiguity-ambivalence"仮説★を加味すると,
小人数のグループではBを選好し,大人数のグループでは不規則になる
ということが予測されたので,少人数(6人) vs. 大人数(600人)で比較。
さらにfMRIにより関連する脳部位を明らかにする。
先行研究としては扁桃体の関与が示唆されるが,
"ambiguity-ambivalence"仮説からは前頭前野の関与が示唆される。
↓
大グループにおいて,フレーミング効果がみられた(ネガティブ条件でgamble選択↑)。
fMRI
大グループ vs. 小グループで,右中前頭回↑
大グループポジティブ条件で,右下前頭回(弁蓋)↑
小グループポジティブ条件で,右島と右頭頂葉↑
*
・ 「フレーミング効果」というのを初めて知りましたので勉強になりました。
・ 集団のサイズもそうだが,集団のメンバーか否かも関係するらしい。
心理学類 vs. 某学類 とか
人間学群 vs. 某学群 とか
筑波大学 vs. 他大学 などでやったらどうなるでしょうか。
・ 考察の記述にいちゃもんがつけられました!
・ イメージング研究の裏話...というほどではないが,「考察」がどのように
なされるかを少々。たとえば今回,頭頂葉の賦活が"予想外に"現れたが,
そうなるとそれについても何か述べないといかん,とか。
・ 営業とかに使えそうだよね。保険の勧誘とか...っていう話がされてましたが,
私はひとり,「(住宅ローンの)固定金利か変動金利か(をどう判断させるかトーク)」
というふうにイメージしておりました。
★なんだかその名称にひとりでしびれてました。「あいまい・両価性仮説」w
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