神経心理学演習11-14
(恐怖認知におけるオキシトシン鼻腔内投与による効果)
オキシトシンを投与すると,表情認知,とりわけ恐怖表情の認知が上昇する。
という仮説を検証。
点鼻による投与。
クロスオーバーデザインで個人差を減らす。
刺激は動画。ニュートラルから徐々に特定表情に変化する。
わかった時点でスペースバーを押し,6感情のいずれかひとつを選択する。
↓
基本6表情のうち,正確さのみ有意に変化(正答率向上)
反応時間には投与×表情の交互作用がみられず,表情の主効果のみ。
また,質問紙により測定した気分には投与ありなし群で差はみられなかったので,
投与による全般的な気分の変化が表情認知のそのような差を生じさせたわけではない。
*
・ オキシトシン... 「行動神経内分泌学」の知識はたいして持ち合わせていない私ですので,
授業でそれらを学習している彼らにかなうはずもありません;あれこれご教示いただきました!
・ とはいえ,オキシトシンが(比較的脳の特定部位...扁桃体が想定されているが...)
どのように作用するのかが不明なので,「神経心理学演習」としてはそこが物足りないかんじ,
と発表者ご本人が言ってました。
・ Fig. 1. の表情変化の例が難しい。とくに,男性なのか女性なのか。
・ 論文としてはほんとに,「恐怖表情」のみ有意に変化,だったので,
うまくやったなー
(でもNを増やしたらもしかしたら他の表情でも...それらしき傾向は見受けられるし)
(してないとは思うけど,「減らして」そうなったかもしれないし...)深読み。
・ 応用的な側面であれこれ。
- オキシトシン投与で,「目のあたり」をよく見るようになるという先行研究がある
→ 逆に,「目をみなくなる」ペプチドホルモンとか開発されたら,社交不安などには
きくかしら。
- (この研究では男性参加者のみだったが)そもそもどうやってオキシトシン増加させる?
→ 女性の場合の話から想像するに... 想像したくない感じでした(特に女性のみなさん)
- 子育てに非協力的な夫に「盛る」か,とか...
・ オキシトシン以外のペプチドホルモンはどうなんだろう?
「バソプレッシン」とか... という感じにマニアックな議論を,彼らはしてました。
・ 「恐怖表情」の認知(正確さ)が上昇するとはいかなる意味を持つか?
→ 相手が恐怖表情を浮かべてこちらを見ていたら,ふつう,
こちらの何かが恐怖を引き起こさせていると考えてもいいよねえ。
・ (その場では言わなかったけど)イスラエルの人ってこういう論文(パラグラフ)構成なんですかね。
特徴的でした。
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