120331[bx1] 表象性無視患者における認知地図
久しぶりに 神経心理学 論文。
道順障害と絡めてちょっと考えました。
120331[bx1]-1 representational neglect; allocentric representation; egocentric representation
Cognitive maps in imagery neglect
表象性無視とは,イメージされる空間における半側空間無視,のこと。
egocentricとは,自己中心の表象で,ようは「見えるがまま」に,
allocentricとは,(うまい訳がないが「異方的な」表象で,地図のようなもの)
学習→地図を描く→ナビゲーション,を以下の二通りの方式で実験して結果を比較。
(1) egocentric → allocentric (はじめに実験者と歩いて回って学習)
(2) allocentric → egocentric (はじめに地図を見て学習)
問題となっているのは,表象性無視患者に特異的な
(知覚における半側空間無視患者とは異なる特徴として)
(a) 心的表象そのものを作り上げたりそれを利用したりすることに問題があるのか,
(b) ふたつの心的表象間の(フォーマットの)変換transformationに問題があるのか
であり,これが上記(1)(2)課題で検討された。
→結果としては,(b)を支持するような知見。両方向的な変換障害。
表象性無視患者と知覚性無視患者のlesionはかなり重なっているが,
表象性無視患者のそれはよりextendedで,よりdorsalにも,とのことである。
*
我が国では「道順障害」というカテゴリーで論じられることが多いところだと思うが,
表象性無視との関連はどうなんだろうな。
現実場面で道に迷うということであれば「利用」であるので(a)的にも思えるが,
純粋に地図が描けないということであれば,道順障害というよりも
「地誌的記憶想起」の記憶障害ということになるのかな。
とするとこれも(a)的に思われる。
いずれにしても,変換(b)を検討するのであれば
「学習」(新奇場面における)という要素を加えることが肝要のようですね。
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