編集の6モード・12用法・64技法・12段活用・8段錦
『知の編集術 ― 発想・思考を生み出す技法』からの抜粋。
(第七刷(2002年3月11日),昔の講談社現代新書っぽい装幀のをひっぱりだしてきた)
◎ キーノート・エディティング(要約編集)のエディティング・モード (p.121-)
① ストーリー性をいかしたダイジェストによる「重点化モード」
② 論旨のアウトライン(骨組)だけに焦点をあてた「輪郭化モード」
③ 一枚ないしは二、三枚の図にしてしまう「図解化モード」
④ 論旨の背景となっている考え方との関係を組み込んだ「構造化モード」
⑤ 別のメディアに変換するための「脚本化モード」
⑥ ニュースとして伝える目的をもった「報道化モード」
◎ 「十二の編集用法」 (p.139-)
A.情報を収集して分類する
B.情報を系統樹やネットワークにする
C.情報群をモデル化あるいはシミュレーション化する
D.情報の流れに入れ替えをおこして、意味を多発ないしは沈静させる
E.情報の多様性にオーダーやルールが生まれるようにする
F.情報を年表や地図や図表にする
G.情報群に引用や注釈を加えていく
H.演劇や音楽や舞踊や芸能などを編集する
I.デザインや装飾をする
J.異文化コミュニケーションを可能にする
K.ゲームやスポーツや競技をつくる
L. 遊びのための編集をする
◎ 「六十四編集技法」 (p. 159-)
編纂(compile) [dataを扱う基本技法]
単立した情報に内属する定義を一項目ごとに対応づけて編集するために
01 収集(collect) 02 選択(select) 03 分類(classify)
04 流派(party) 05 系統(taxonomy)
編集(edit) [captaを扱う応用技法]
つながった情報がもつ意味の背景・含意・流れを広げて編集するために
10 - 情報群を意味単位に分節して編集する
06 編定(codify) 07 要約(digest) 08 凝縮(condensation)
11 - 情報群のモデル化が進むように編集する
09 原型(metamatrix) 10 模型(model)
12 - 情報の多様性がオーダーやルールを生むように編集
11 列挙(enumerate) 12 順番(address) 13 規則(order)
13 - 入れ替えや置き換えを試みて編集する
14 配置(arrangement) 15 交換(change)
14 - ある情報が他の情報とどういう関係にあるかを重視して編集する
16 比較(comparison) 17 適合(suit) 18 競合(conflict)
19 共鳴(resonance)
15 - 二つ以上の情報の関係をつなげつつ広げながら編集する
20 結合(combination) 21 比喩(metaphor) 22 推理(reason)
16 - 広がった情報を俯瞰して新たな線引きをするように編集する
23 境界(confine) 24 地図(map) 25 図解(illustration)
17 - いったん編集された情報にさらに新たな情報群をよびこんで編集する
26 注釈(annotation) 27 引用(quotation) 28 例示(example)
18 - 隠れたアイテムや意味やイメージを連想的に拡張して編集する
29 暗示(suggestion) 30 相似(similarity) 31 擬態(mimicry)
32 象徴(symbolize)
19 - 情報に強調や変容がおきやすいように編集する
33 輪郭(profile) 34 強調(emphasis) 35 変容(deform)
20 - 情報の意味が別の意味に転換するようにストレスを与えて編集する
36 歪曲(distortion) 37 不調(disagreement) 38 諧謔(joke)
21 - 情報の周囲や外部に加飾性をもたらして編集する
39 意匠(design) 40 装飾(ornament) 41 模擬(simulation)
22 - 複数の情報群を足したり引いたりして編集する
42 補加(apend) 43 削除(delete)
23 - 編集の部分的プロセスを別の編集装置に移管できるように編集する
44 保留(reserve) 45 代行(agent)
24 - 情報群に新たな座標やグリッドを与えて編集構造をつくる
46 測度(metric) 47 構造(construction) 48 形態(form)
49 生態(mode)
25 - 情報のメッセージ性に注目しつつメディアに適合させて編集する
50 焦点(focus) 51 報道(report) 52 統御(ruleover)
26 - 情報の流れをシナリオ化して場面単位に編集する
53 道筋(plot) 54 脚本(script) 55 場面(scene)
56 劇化(naration)
27 - 情報交換のしくみや遊びや競技になるように編集する
57 遊戯(play) 58 競技(sports)
28 - コミュニケーションがしにくい二つ以上の文化風土をまたいで編集する
59 翻訳(translate) 60 通訳(interpretation)
29 - 音楽性やリズム性によって編集する
61 周期(rythm) 62 曲節(melody)
30 - 総合性あるいは個別性を特別にいかして編集する
63 総合(synthesize) 64 創造(creation)
◎ 「編集十二段活用」 (p. 193-)
① 注意のカーソルを対象にむける。
② 注意の対象およびその周辺に少しずつ情報が読みこまれていく。
③ 同義的連想が始まって、シソーラス性が豊かになっていく。
④ だんだん情報の地(情報分母)と図(情報分子)が分離できていく。
⑤ さらに階層化がおこり、情報の周辺をふくむ全体像が立体化してくる。
⑥ さまざまな情報がネットワーク化され、リンキングをおこす。
⑦ デフォールト(欠番構造)やスロット(空欄)が見え隠れする。
⑧ それがハイパーリンク状態になったところで、そこに筋道を読む。
⑨ 筋道にあたるレパートリー(情報見本帳)を検索する。
⑩ カテゴリーが凝集し、ステレオタイプやプロトタイプが出入りする。
⑪ 必要な情報のレリバンス(妥当性)を求める。
⑫ そのほかいろいろの編集(六十四編集技法)を加える。
◎ 「編集八段錦(はちだんきん)」 (p. 197-)
① 区別をする(distinction)
② 相互に指し示す(indication)
③ 方向をおこす(direction)
④ 構えをとる(posture)
⑤ 見当をつける(conjecture)
⑥ 適当と妥当/適応させる(relevance)
⑦ 含意を導入する(metaphor)
⑧ 語り手を突出させる(evocate)
*
…あれこれたくさん書かれているわけです(笑)
2000年1月20日に第一刷発行とあり,干支が一回りして
情報環境もだいぶかわったように思いますけど,
「編集」で考えること/することって,さほど変わっていないのかなと思いました。
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